横断歩道のおばあさん
投稿者:紗英 (6)
当時私が19歳で6歳年上の彼とショッピングモールへ出かけた時のお話です。
その日は天気も良く、彼の運転でドライブをしながら2つ隣の市のショッピングモールへ向かいました。
お昼頃に到着して、お腹も空いていたので軽食をしてからショッピングをしたりゲームセンターで遊んだりと楽しい時間を過ごしてすっかり夜になってしまいました。
ショッピングの後、彼の友人カップルと4人でご飯に行く予定だったので19時半頃にショッピングモールを出ました。
ショッピングモールの駐車場を出てすぐのT字路で左折をしようと先頭で信号待ちをしていて、助手席に座っていた私は何気なく窓の外を見ていると左側の横断歩道を渡ろうとするおばあさんの姿がありました。
その道路は交通量が多く事故も多い道路で、その日も交通量は多くありました。
おばあさんはキャスターの付いたキャリーバックを引きながら、まだ赤信号の横断歩道を渡り始めたのです。
助手席に乗っていて一部始終が良く見えた私は彼に「おばあさんがあぶない!!」と叫びました。
私の声に驚いた彼は私の指差す方へ視線を向けたものの「なにが?どうしたの?」と答えました。
彼に何度も「おばあさんがあぶないの!引かれちゃう!ヤバい!」などと叫ぶ私。
1、2分程のやりとりの間にもおばあさんはゆっくり渡りながら危険な状態。
とうとう本当に危ない状態だったので車を降りようとしたところで彼に「〇〇(私の名前)何言ってるの?さっきから怖いよ!おばあさんなんていないよ!」と言われました。
(目の前で引かれそうになっている、おばあさんが居るのに彼は何を言っているのだろう?冗談にしては笑えない)と思っていると。
おばあさんが渡っている途中で目の前の信号が青に変わり少しほっとした瞬間、彼が左折し始めた・・・
「きゃーーーーー!!おばあさん引いちゃう止めてーーー!」と叫ぶと。
「お前!さっきからいい加減にしろ!!」と怒鳴られた。
そして、焦って左の窓をみるとばっちりおばあさんと目が合っておばあさんが一瞬ニコッと笑って間一髪で事故を避ける事が出来た。
彼の方へすぐ向き直って「あぶないじゃんか!!!!引くところだった!!」と怒鳴ってから後ろを振り返ると・・・
おばあさんの姿はありませんでした。
ビックリして彼に「おばあさんがいない!」と言うと彼は「最初から居ないから」と一言。
その後、友人カップルが待つファミレスへ行く道中で「見た」「見てない」などと口論になり喧嘩まで発展して最悪の雰囲気で友人カップルと合流しました。
そんな私たちに友人カップルが事情を聞いてきたので一部始終を説明すると、友人カップルの男性がボソっと「そこのT字路で2週間ほど前に事故があったんだよ」と言いました。
怖くなった私と彼は「どうせ、またオカルト話でビビらせたいだけでしょー!」と茶化すと。
友人男性は今までに見たことのない真剣な顔で携帯を私たちに見せてきました。
そこには友人男性が話した、事故の記事が載っていて読み進めると場所も私が見たおばあさんの年齢層も完全に一致したものでした。
見てしまった私は怖くて真っ青になり、彼は動揺して震えていました。
とても食事をする気分になれなかったので、私たちは4人で事故現場に向かい花を手向ける事にしました。
すると、最初はおばあさんに気を取られていて気づきませんでしたが信号機の下にいくつかの花や缶ジュースが手向けられていました。
4人の時にはおばあさんの姿はみることはありませんでしたが、おばあさんが無事に成仏してくれるよう4人で祈る事ができました。
私にとって衝撃的な怖いお話でした。
マイルドヤンキー