化粧台が残された謎の物件
投稿者:陶芸参謀 (37)
私の友人N君の話です。
私は現在一人暮らしをしているのですが、同年代のN君はいい大人なのに未だに実家で生活を送っています。
飲みの席で「そろそろ一人暮らししてみれば?」と言ってみると「…今は考えていない。」と答えるのです。
なぜだ?と問うと、「幽霊が怖いから」と子供のような返しをしてきたので笑ってしまいました。
実はN君、数年前に一度だけ一人暮らしをしようと物件の下見に行ったことがあるそうです。
当時N君は千葉県にある某工業団地のような場所で職人仕事をしていました。
その職場はみんな仲が良くて、仕事の後にみんなで飲みにいったり、スペースを借りて一緒に格闘技の練習をしたり、困ったことがあったらすぐに連絡を取り合うような家族のような関係でした。
N君は職場近くのアパートを借りようかな?と思ったらしく、同僚の人に相談し、一緒にある物件の下見に行くことになりました。
不動産の営業マンに連れられ、N君たちは築40年ほどの古いアパートを紹介されました。
家賃も安く、職場から近いのでN君は気に入ったそうです。
しかし部屋の中に入ろうと玄関の前に立った瞬間、N君が連れ添った同僚の男が、「やめろ!やめとけ!ここは絶対にやめておけ!!」と大声を出し始め、突然逃げるようにして帰ってしまったそうです。
N君と営業マンはキョトン…としたそうですが、とりあえず中を見るだけ見てみようということになりました。
部屋を開けると畳張りの和室が目の前に広がっていました。
するとなぜか、部屋のど真ん中に化粧台が置かれていたそうです。
もちろん、それ以外の家具は何もありません。
その瞬間、後ろの玄関のドアがバタン!!と突然しまり、「うーうー」と謎の声が天井が響いてきたそうです。
ぎゃあ!!!とパニックになったN君と営業マンは走ってその場から逃げ出したそうです。
それ以来、同僚の人は仕事を辞めてどこかへ行ってしまったそうです。
そしてN君は「だから俺は一人暮らしができない」と語っていました。
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