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不思議体験

キミ・ナンヤネンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

サバゲ―
短編 2021/11/02 02:27 3,814view
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サバイバルゲーム(サバゲ―)仲間で、とあるフィールドに泊りがけで遊びに行った時の話だ。

僕らが行った所は老夫婦が営む小さな民宿で、その裏山にフィールドが併設されている。

ただ、ご夫婦の体力的な問題なのか大規模な整備ができず、最低限の設備しかない。

そのせいか、フィールド大部分はほぼ自然のまま手つかずで残っているのだが、それがかえってリアルで人気がある場所だ。

今回参加したのはいつものメンバーだから、当然誰がどんな銃を持ち、どんな装備をしているかは互いに知るところだ。

だからゲームが始まれば、自分が誰を撃ったか、あるいは誰に撃たれたのか、という事くらいはわかる。

しかし、それを逆手にとって、ゲームが始まるとすぐに買ったばかりの新しい銃や装備を身に着ける奴もいる。

それは彼なりのカモフラージュなのだが、それをされたらすぐには誰か分からない事がある。

民宿にメンバーが揃って、午前中から様々なシチュエーションで何度もゲームを戦っていた。

メンバー全員が揃うのはめったになく、皆夢中にゲームを楽しんでいた。気が付くと辺りは薄暗くなっていた。

その日の最後ゲームが始まった。

今度のゲームは5対5のチーム戦で、互いの陣地にある旗を奪ったら勝ちというルールだ。

基本的に、旗を目指して突撃する者、少し離れてそれを援護する者、自陣の旗の近くで守る者がいるが、それはチームや作戦によって違う。

その役割によって使う銃を使い分ける事もあるが、それは相手のチームも似たようなものだろう。

僕は敵陣に静かに前進していた。まだ周りには敵はいないだろう。

僕は周りの様子を伺いながら、ゆっくりと1歩1歩進んでいく。

「パキッ!」

僕はうっかり足元にあった枝を踏んで折ってしまい、大きな音を出してしまった。

すると右の木の陰から敵に見つかり、僕は見事に狙撃され

「痛!」

と思わず声を出してその場から退場しリタイアした。その弾丸は妙に重く、痛く感じた。

突撃役の僕が早々にやられてしまい、結局チームは負けた。

民宿に戻り、メンバーたちとゲームの総括というか反省会というか、雑談をしていた。

「いやあ、さっきのゲームは始まった早々にやられたよ。撃ったのって、結局誰だったんだ?」

僕がみんなに聞いても、いや俺じゃない、と全員が同じ答えをした。撃った人間にはその相手が大体わかるのだ。

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コメント(1)
  • 少し手直ししました。
    作者より

    2021/11/02/12:44

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