「夜も遅いし、お風呂でもいかがですか?」
投稿者:HANAHANA (35)
私の母方の祖父母は、漁業が盛んな地域に住んでいます。
しかし、自宅は山間部でいくつも山を登り、下って行った先の広い敷地にポツンとした家があり、周りは畑や田んぼに囲まれている農村地域。
子供の足でも5分ほど歩けば海に出るという魅力的な田舎町で暮らしていました。祖父母はもう亡くなっていますが、母から聞いた話です。
船乗りの家系は、酒飲みが多いのですが祖父も叔父ももれなく大酒飲みで何かと言えば集まれば、一升瓶が出てくるような家です。
どっしりと構えた祖母はとても気が強く、辛抱強く、質素でいかにも昭和の妻のような人でしたがそんな祖母でも大慌てしたという話がありました。
祖父が、集会かなにかで山の上の集会所でたくさんお酒を飲み、酔っぱらって帰宅しようとしていたそうです。
祖父の話では、帰り道にキレイな女将さんがやっている小料理屋のようなものがあって「こんな所に店なんかあったか?」と聞くと意味深な笑顔で出迎えてくれたそうです。
そこで飲んだお酒はとても美味しく感じて、料理も美味しかった。しかし、夜も更けているので家に帰らねばと思い立ちお会計をお願いすると「夜も遅いし、お風呂でもいかがですか?」と促されるままお風呂に入った祖父は、あまりの気持ちよさに眠ってしまいました。
家に無事に帰れたかどうかと心配した人が、祖母に電話したところ帰宅していないと伝えると数人で探したそうです。
夜が明ける頃になって、苦しむ声が聞こえた方へ行ってみると肥溜めで眠った祖父が溺れそうになって目が覚めたそうです。
なんで、肥溜めにハマったのかと聞くと「あれは、キツネだったのか?」と言い、それ以降夜は出歩かないようにしていたそうです。
狐も狸も人を化かすと言われていますが、
迷わせる、崖や川に落とすなど
人の命に関わるような悪さをするのは狸なんだとか