U駅前の殺人事件
投稿者:陶芸参謀 (37)
僕が20歳前後の頃の話です。
その頃僕はバンドをやりながら交通誘導警備のバイトをしていました。
ヘルメットをかぶって赤いランプのついた警棒を振り回すという、工事現場でよく見かけるあの仕事です。
日によって現場が変わるのですが、僕はちょうど1週間ほど同じ現場に飛ばされていました。
その現場とはU駅近辺にある公園前の道路でした。
現場仕事は朝が早いので、その日僕は朝5時に起きて6時過ぎの電車に乗ってU駅を降りました。
早朝のU駅の改札を抜け、表通りに出ると人だかりができていました。
キャー!!!という女性の悲鳴も聞こえてきました。
何事だ…?とよく眺めてみると、一人の中年男性が歩道のど真ん中で寝そべっていました。
その男性を囲むようにして携帯をいじっている人がいたり、青ざめている女性がいたりしました。
酔っ払いかな…なんて思いながら僕は寝ている男性のすぐそばを通り過ぎようとしました。
そのとき、なんだか異様な生臭さが漂っていることに気付きました。
よく足下を見てみると、僕の靴の下に牛乳パック12個分ほどの大量の血液が水溜まり状態になっていたのです。
その血液は、倒れ込んでいる中年男性から流れ出たものです。
その時になってやっと僕は自体を把握しました。
その男性の体には数十ヵ所以上の刺された跡があり、顔を見ると目が開いたまま瞳孔が開いた状態。
プルプルと震えていたのでかろうじてまだ生きている様子でした。
うひぃ…と跳ね上がり、女性たちが悲鳴を上げ周囲は騒然としていました。
すぐに冷静さを取り戻した僕は、やば、遅刻しそうと小走りで歩道を歩き始めました。
さすまたを担いだ警官とすれ違ったので、やはり事件性があったということでしょう。
その日のお昼は食欲が無くなりましたが、何とか詰め込むようにしてお昼ご飯を食べました。
帰宅後、家にあった新聞の夕刊を読んでみると、例の事件が小さな記事で書かれていました。
とある中小企業の内ゲバが原因で、雇われた反社の人たち数人にメッタ刺しにされたとのことです。
その中年男性は、その後意識不明の状態が続ましたが亡くなったそうです。
今でもあの「目」が忘れられません。
牛乳パック12個分ってかなり多いね!