「粗相するな」も「喋るな」も破っちまったんだ。
事のヤバさは肌感覚で分かってた。
でも、いつまで経っても何も起こらないんだ。
祠の中から何が出てくるわけでもないし、俺に超常現象が起こるわけでもない。
なんだよ、本当の本当に何もないじゃんって思った。
ビビってた俺が馬鹿らしいって。
徐々に冷静になった後に気づいたんだ。
そういえば、あのぼしょぼしょした音が聞こえな――
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
いきなり不気味な声が響き渡ったんだ。
あのAさんのときと同じだった。
俺、もう限界で、「うわあああああああああああああ!」って叫びながら逃げ帰った。
マジで、マジで怖かったんだよ。
殺されるかと思った。
この、殺されるって言うのは、俺見ちゃったんだよ。
あの「うひゃひゃ」が聞こえた瞬間、祠の中から何かが出てきたんだ。
白い触覚みたいな、なんかぬるぬるしてそうなのが。
それに殺されると思ったんだよ。
もう走ったね。走って走って走ったね。
道中、思いっきり転んだけど関係なし。
足がもげるんじゃねぇかなって思うくらい全力疾走した。
村長さんの家に近づけば近づくほど灯りが増えてった。
家に着いたときには涙でボロボロだったよ。猿のお面で見えてなかったみたいだけどな。
村長の奥さんが「頑張ったねぇ、偉いねぇ」って言ってくれたのを覚えてる。
なんかお風呂を用意してくれてたみたいで、転んだときの泥とかも洗えたんだよな。
湯船につかってさっぱりしたところで、村長に呼ばれたんだ。
「どうだった?」って。
俺さ、そのとき嘘ついたんだよ。
「うまくやれたよ」って。
「粗相しなかったか? 何も言わなかったか?」って訊かれたけど、全部「大丈夫」で通した。
この嘘に理由があったわけじゃない。なんかあるだろ、そういう本能的な奴。
俺は祠の中身を見ちゃったから余計に「黙っておこう」って思ったんだよ。























とても読み応えありました
面白い話しでした
洒落怖全盛期を思い出しました
どうしても昔のうひゃうひゃうひゃを思い出すな
これって1さん憑かれてない?
1です。たぶん大丈夫ですよw
山形の人は気が強いのか。そうかもな。
長いけどよかった
ねぇ1さん 寝言 録音してみよ
ちょっと古臭い
これって、石引様に何かされてるだろ。
> モテないわけじゃないんだぜ?
結構夜の町でひっかけたりするんだけど、
…夜は夜でポン引き様に魅入られちゃったんですね、わかります
他所から遊びに来てる子供に儀式を任せるとか正気か
よくそんなノリで長い間伝統を維持してこれたな
儀式をやったのその時が初めてなんじゃねえのって思っちゃうくらいの杜撰さ
騒ぎを持ち出した少年に責任とらせるっていうのが田舎らしい。
だぜ?
Aさんの様子が統合失調症の症状や薬のストレス性チックに合致するけど医療に繋げてくれる人はいなかったのかな
この手の話を聞く度に思う。誰かを犠牲にしないと存続出来ないような村ならいっそ滅べ、と。生き残る奴が、犠牲になった人より価値があると思えない。鏖殺でええよ。
村落 カミサマに纏わる話は、総じて救いがないというか、恐ろしい話が多い。
言い伝えられている名前とは違う、別の名前をもっていたりする。
儀式や決め事を守らなかった者たちの顛末とか、この手の話には、よくある展開だったけど、ラストでゾクリとした。あぁ、取り憑かれているねって。
時代は変わり、もう集落なんて過去の遺物になるんだろうけれど、話自体は、こういう形で残っていくんだろうな。
面白いですよ。うひゃひゃ。
杉ちゃんかな?
寝言でうひゃうひゃ言われてちゃ醒めるわなw
これ家にばっかいるなって外に出した爺ちゃんが一番の元凶じゃね?
ま~たこんなパターンの創作話、と読み始めたが。
なんだか何カ所ものディテールがリアルっぽい。まぁ、上手いのでしょう。ほんわりと怖い余韻もしっかり残すし。
寝言でうひゃうひゃ笑ってるんだろうな
村の迷信に惑わされて医療機関に繋げてもらえないAさんが気の毒すぎる。これはヒトコワでは?もちろん怖いのは村人の方で。
最後が蛇足に感じてしまうが面白かった!
ぶったたいた母が怖い
すべての禁忌犯してるくせに普通に無事なのが草
くっそつまらねぇ駄作だな
おー
儀式の矢面に無理やり立たせた村人も、一切孫を守ろうとしなかった祖父も叩いた母親も全員クズだな
禁忌の代償として皆死ねばよかったのにw