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心霊

Rebirthさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

夜に山から聞こえる赤ん坊の泣き声の正体は・・・
長編 2021/10/23 01:59 3,169view

中学生のときにはじめ自分だけの部屋をもらいました。
母屋の隣に2階建ての家があり、学生に貸していたのですが、せっかく入居しても、すぐに出て行ってしまいます。

2年ほどで10人くらいが入れ替わりました。とくに、苦情もなく、そそくさと引っ越してしまいます。

それなら、私の部屋にしたいと、両親にお願いしてみたら、中学生になったのだし、いいだろうということになりました。

一階は、父が倉庫として使っています。2階は六畳のワンルームで、バス、トイレ付きです。
すっかり、一人前になった気分で食事の時間以外は部屋で過ごしていました。快適な暮らしです。

しかし、夜になるとこのあたりは静か過ぎて、不安な気分に襲われます。テレビなんかありません。せいぜいラジオを聞くくらいです。
静かすぎる夜、裏は山が迫っています。

暮らしはじめてすぐに、勉強机に向かっていると、背後に人の気配を感じるようになりました。
窓を開けて母屋を見ると電気がついているのが、見えます。

私は不安になると、家に戻り、二つ違いの弟とテレビを観ながら過ごします。
夜10時を過ぎると、家族も寝る時間なので、自分の部屋に戻ります。
自分から一人の部屋が欲しいとお願いしたからには、後に引けません。
なにごとも起こってないのに、怖いなんて言ったら弟に馬鹿にされます。

人の気配がしても、絶対に振り向かないことにして、怖さを我慢しながら、頑張りました。
早く眠くなるように、ベッドに入り、頭から布団をかぶって、丸くなって眠りました。

ある晩、トイレに行きたくなり、部屋の明かりをつけてトイレのドアを開けました。
トイレは山側にあり、風の音が聞こえます。
サワサワと竹林を風が通る音です。
なんでこんなに怖いのか、一人になって、自分が気が小さいのだと、はじめて知りました。

勉強どころではなく、早く眠りにつきたかった。

一カ月は辛抱できました。
慣れることはないけど、気配だけで、何事も起こらないのです。

少し慣れてきたのか、寝るまでの時間に机にも向かえるようになりました。

だけど、12時を過ぎると、山側から聞こえる風の音に混じって、赤ん坊の泣くような声が聞こえてくるようになりました。

それは、よく耳を澄まさないと聞こえない微かな泣き声です。
やがてか細い泣き声は消えてしまいますが、ほとんど毎晩のように聞こえるのです。

ある晩、人の気配が濃密になり、息遣いまで聞こえた気がして、思わず振り向いてしまいました。

女の人が背後にいました。

はっとして、立ち上がったときには、気配ごと消えていました。
今のは何? 気のせいか?
母屋の明かりはついているけど、暗い外に出るのが怖いのです。

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