「未知との遭遇」
投稿者:ぴ (414)
この顔についてはそのとき一緒にその場にいた妹も友達も朧げで覚えていないというので、何か狸にでも化かされたような気分です。
でも動物の中で何かと例えるのであれば、それは昔話によく出てくる伝説上の生き物「河童」のような姿形だったと思います。
私と妹は未知の生き物を見つけたことで、最初はびびりながらも途中からテンションが上がりました。
「何これぇ!?」と妹も好奇心いっぱいで、木の棒を持って来て触ったりしていて、上機嫌。
私もそれが何かわからないのに関わらず、四方八方からつんつんしてみたり、不思議な生物に興味深々になっていました。
ただ一人の友達だけがぜんぜんこちらに近寄ってこず、岩の上から見下ろして様子をうかがっていました。
私たちが触ったりする度に、上から「ギャーギャー」という声がうるさくて、一番怖がっていたことを覚えています。
私たち姉妹がしばらくそれを観察していたら友達が「え?その生き物生きてるの?」とかなり怖がった声で聞いてきました。
ふと聞かれて、私は心臓のところを触ってみたのです。
でもそこが動いている…なんてことはなくて、微動だにしなかったです。
私は「生きてないよ」と言いました。しかし、友達が「いや、生きてるよ。手がぴくぴくした」と言って驚きました。
そう言われて注視して見たら確かに手足だけぴくぴく動いてます。
私と妹は一度顔を見合わせて「生きてた!」と双子みたいにぴったりと合った声で言いました。
もし今のように携帯が普及している頃であったら、私たちはこの生き物を何枚も写真に激写して証拠に残していたと思います。
ただ、その頃は残念ながらまだ携帯がみんなに普及していない頃で、私たちは証拠を残すすべを持っていませんでした。
どうにかしてこの生物を家族に見せてあげたいと思った私と妹は二人で話し合って運ぼうとしたのです。
しかし、そのときにこの不思議な生き物が目覚めてしまいました。
私たちとの前で急にパチッと目が開いて起き上がった河童のような生物は目の前の私たちを見て明らかに驚いているようなそぶりを見せました。
でもあまりに突然起き上がったので、私と妹もうっかり驚いてしまって「きゃ~」と叫び声をあげてしまいました。
その声に再び驚いたんでしょうね。
その生き物は驚くべき速さでぼちゃんとすぐそこの川に飛び込んで潜ってしまって、それっきり上がってこなくなりました。
私は一瞬の出来事がすぐに呑み込めなくて突っ立っているだけでした。
妹がいち早く立ち直って、飛び込んで水中を探しましたがおらず、その後私と妹で周辺を探しまわりましたが、それから河童もどきを見つけ出すことはできませんでした。
ちなみに友達はどうやら腰を抜かしてしまったみたいで、真っ青になって呆然とこっちを見ているだけでした。
いまだにあの生物が一体なんだったのかまったく解明されていません。
まずあんなにはっきりした緑の皮膚を持った生物が珍しいと思うし、私は河童だと今でも思っています。
ただ友達は「あれは宇宙人だった」といいますし、妹は「森の妖精だった」と言います。
川の後ろには森に続く大きな林がありましたからね!私たちの意見は三者三様なのです。
はっきりこの生き物が何だったのかは分からないけれど、私たちはあの日未知の生き物に遭遇したという思いは一致しています。
あの出来事があって、私は趣味で古い妖怪なんかに興味を持つようになりました。
友達は今もとっても怖がりで、あの日のことを思い出話で話すときも、一人ブルブル震えています。
間違いなく、私たちにとってかなり人生観が変わるような出来事でした。
あんなに驚いてしまったのに関わらず、もしもう一度出会える機会があるのならば…と想像してわくわくしてしまうのです。
やっぱり河童は実在するんだ!
なんだろ、つまり元来物理的に存在している稀有な水中生物が古来から存在し、それを『河童』と名付けた…って事かな… 皆が目撃し、触れたなら妖怪じゃなくて生物って事だよね?
大山椒魚じゃないかな?
河童の子供じゃない?