「でる」アパート
投稿者:陶芸参謀 (37)
私が専門学生だったころの話です。
地方から上京し、学校近くにある築40年近いアパートで一人暮らしをしていたクラスメートがいました。
学校帰りに仲の良いクラスメートたちでその部屋に行き、酒を飲んだり談笑したりして、いわゆる溜まり場になっていました。
最初は何とも思っていないただのアパートだと思っていたのですが…。
ある雨の日、いつものようにそのアパートに行き、みんなでワイワイやっていたときのことです。
私はタバコを吸おうと、玄関の外に出ました。
駐輪されていたママチャリに乗っかって、廊下に背を向けてスパスパとタバコを吸っていると…「ヒタ……ヒタ……」と足音が背後から聞こえました。
隣の住人かな?とちょっと気まずいなと思い、一応挨拶しておかないとなと思い振り返ってみると、そこには誰もいませんでした。
雨が降っていたとはいえ、確かに人の足音が聞こえたのに変だな…と思っていました。
部屋に戻ると、何やらみんな集まってビデオを観ていました。
どうやら誰かが稲川淳二の怖い話のビデオを持ってきていたようです。
ビデオが終わるとみんなで怪談をしようという流れになり、輪を作るようにして畳の上に座り、それぞれが怪談話を披露していました。
稲川のビデオ、怪談と、冷ややかな空気が流れているな…なんて思っていた瞬間のことです。
「バン!!!!!!」という音が鳴り響きました。
一瞬みんな無言になり、何事だ?と音のした隣の部屋のドアを開けてみると……タンスの上に飾ってあった写真立てが下に落ち、ガラスが割れてしまっていたのです。
タンスの上の中央辺りにあり、大きな地震がきたとしても落ちるような場所には置いてありませんでした。
きゃああ!!と数名の女子が叫び、本気で怯えてしまったのでその日はお開きとなりました。
その後、そのアパートで不可解な出来事が連発し、隣にあったスーパーが火事になって焼けてしまいました。
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