異様な雰囲気に魔除けのおまじないを唱えたところ…

私が小学生の時の、実家での体験談です。

私の実家ではよく不思議なことが起こりました。家族全員リビングに居るのに二階を駆け回る大きな足音が聞こえたり、急にカーテンの端がパンッと音を立てて裂けたり。特に私は霊感があるのか、廊下で小さなおかっぱ頭の女の子が立っているのを見たり、ラップ音を聞いたりと、他の家族と比べてそういったものに遭遇することが多かったように思います。

その日の夜も自分の部屋のベッドで寝ていると、ふと夜中に目が覚めました。その瞬間、部屋がどんよりとした、重たい空気に包まれていることに気が付きました。

あ、何かいるな。
そう感じて、私はとっさに頭の上まで布団を被りました。布団の上からでも感じる重苦しいまでのプレッシャーに、思わず油汗が出ました。これまでも夜中に変な気配がして目が覚めることはありましたが、この日はいつもとは別物の異様な雰囲気があったのです。

私は必死で、以前、私に霊感があると聞いて父方の祖母が教えてくれた、魔除けのおまじないを唱えました。早くどこかへ行って！と願いながら何度も何度も。
しばらくの間そうしていると、急にすっと体が軽くなり、呼吸がしやすくなったように感じました。私はそろそろと布団から顔を出し部屋の中を見渡しました。もう先程の妙な気配も消えており、いつも通りの私の部屋です。
ああ、良かった。

そう思って溜息をついた瞬間、ベッドの下から小さな女の子の声が私に問いかけました。

「怖い？」

その時の衝撃と恐怖は言葉では言い表せません。私は気を失った様で、気が付くと朝になっていました。今でもその抑揚のない問いかけは鮮明に思い出されます。後にも先にも、その子に話しかけられたのはその一度きりでした。