感じる恐怖、見えない何か
投稿者:力弥 (1)
短編
2021/09/03
07:52
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当時、私が働いていたアパレルショップでの出来事です。
そこはいつも客足が少なく、正直いつ閉店しても違和感は無いような店でした。
ある夏の夜、当時よく二人で夜勤に入っていたアルバイトの先輩が「こんなに暑いし、怖い話でもして涼しくなるか」と雑談を始めました。彼は「この店には絶対に何かがいる」と、彼自身がバイト中に感じた心霊的な体験を話し始めました。私はオカルト的な話は信じないようにしていたので、初めは冗談半分で聞いていましたが、彼の話を聞いているうちに、それが冗談では終わらないかもしれないという恐怖に襲われました。
なぜか。それは彼の話す体験談のほとんどが私も体験したことがあったからです。店内にお客さんはいなく、自分一人なのにどこからかハンガーがずれる音や誰もいないのに何かの気配を感じる試着室、どれも以前から私は感じていたことですが、気にしないようにしていました。ですがもう気にしないわけにはいきません。私はその後、その他のスタッフにも同じ体験をしたかどうか尋ねたところ、信じられないことに全員が謎の音や不気味な存在感への恐怖を感じていたとの事でした。
その後、その店は閉店が決まり、私も他店舗へ異動になりすっかりとあの恐怖からは解放されて働いていました。
ある日異動先の店内でなぜか線香のにおいがする事に気が付いたあの瞬間までは・・・。もしかしたら私について来たのかもしれないと、恐怖が一瞬で蘇りました。
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