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ヒトコワ

沈丁花さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

用意周到、しつこい奴
長編 2026/09/27 22:45 79view

 ところが、2回目の″下見″から3週間ぐらい経った頃、その不法侵入者はついに【とんでもない暴挙】に出やがったーーわざわざ″お友達″まで連れて、わが家にお越しになったのだ!

ーージャリッ、ザリッ、ズリッ、ジャッーー

 相も変わらずでっかい足音を立てて、家の左手側を歩いているのが分かる。ここまで念入りに下見をするぐらいだから、多分同一犯だろう。
 さあ、俺も勝手口から飛び出して、アー◯ジェットの冷気をお外の変態さん達のツラにたっぷりお見舞いしてやろうか。それとも、スズメバチを退治するときのように、大きめの重たい本を投げつけてやろうか。(もちろん冗談ですよ!)

 俺は傍にA3サイズの重たい本の束を置き、アー◯ジェットを持って冷蔵庫の脇に隠れた。真隣は風呂場と洗面所だ。そしたら、件のならず者どもの会話が聞こえてきたのだ!
「おい、まだ電気がついとるぞ。」
「なんでこの家はいつもこんな時間まで起きてるんだ。」
 その挙動不審な男たちは内緒話をする時のようなヒソヒソ声ではなく、ごく普通の声量で話をしているようだった。ちなみに俺の家の左隣は空き家だ。まだまだ綺麗だが、失礼ながらお庭がすっかり荒れ果てている。

 とにかく、こいつらは間違いなく同一犯だ!彼らは我が家に目を付けて、きっと代わりばんこで我が家にスキがある時を見に来ていたのだ!

 思ったとおり、そのろくでなし達は我が家の角を右に曲がり、我が家の勝手口の靴脱ぎ場にそのばっちい足をまたもや乗せやがった。ドアごしに懐中電灯の灯りが見える。そこでお連れさんが「おい、やめろよ」と声をかけるのが聞こえたが、主犯格の方は構わずわが家のドアノブを回そうとした。
 けれども、二重にロックしてある扉だ。
「あかん、この家やっぱりガチガチや。」
と、主犯の男がつぶやいた。そして彼は従犯の男に、
「おい、リビングの窓を見てみろ。」
と指図した。
 共犯の男はジャリッ、ザリっ、ザラッと高らかな足音を立てて、勝手口から5〜6歩走ったようだった。その直後、リビングの窓を長く細っこい棒のようなもので、カツンと軽く叩いた。だがそのリビングの窓もまた、二重に鍵をかけてある。
 ほう助犯の男は、
「窓もガチガチや。カーテンの隙間いっても、あんな天井に近いところの小さな隙間では何も見えん。」

と言った。
 そうしてその二人の無法者どもは諦めて帰って行った。その日以来、見知らぬ人間が夜中に無断でわが家の庭を歩くことはなくなった。
 

 けれども、これで「めでたし、めでたし」とは言えない。なぜなら、その程度の無頼漢ならいつでもどこにでも出没するからだ。とりわけあの従犯格の男の言動には、俺も現代社会の闇を感じた。

 お仲間が悪事をしようとしている時に、「おい、やめろよ」と声をかけるのは、そいつにまだ良心がある証拠だ。そんな中途半端なやつが、なぜ平気で窃盗行為をしようとするワルに協力したのだろうか。その理由の一つは金銭の為だろうが、本当のことはあの日の小悪党と彼のお仲間にしか分からない。
 俺に明言できることは、特にあの主犯格の悪人は相当に″手慣れている″ということだ。多分、あいつはわが家以外のお家にも目星をつけ、不審行為やら器物の損壊やら窃盗やら繰り返しているのだろう。早く逮捕されちまえ。
 ならず者にもほう助人が要ることがあるから、『チャレンジOK!高時給(高日給)で誰でもできるお仕事です!』などと甘い言葉で人を惹きつけ、生半可なチンピラから人面獣心の輩へと変貌させていくのだろう。

 日本の警察はあまり頼りにならない。被害者がひどい目に遭うまで動いてくれず、証拠を用意できていないとけんもほろろに突き返される。司法は被害者の人権や尊厳よりも、加害者のそれの方を強く守ろうとする。結局のところ、自衛することが大切なのだ。
 皆さんも気をつけてください。
 

2/3
コメント(1)
  • 花蘇芳(沈丁花)です。俺の家に押し入ろうとした悪人が″まだ諦めることを忘れていない奴″で良かったと思いましたが、想像が膨らむままに書いていてはくどくなるので、シンプルに事実だけを書きました。げに恐ろしきは、人の想像かな。

    2026/09/27/23:09

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