シャカシャカ音は変わらず聞こえてくるが女性のプロフィールに集中する。
彼女を基準にしてもっと可愛い子を選別してハートマークをつけていく。
ふと音が小さくなったことに気がついた。遠くに行ったんだなとその男の方を見ると、その男は5mもない距離に立っている。
近くに来られるとその男の背の高さと細さがより際立つ。
こちらを見下ろす男と目が合う。
化け物・・・とかではない。普通の人の顔だ。何一つ顔におかしい点はない。ただ首から下が異様なだけだ。
何かこちらに話しかけてくるわけでもなく、その男はじっとこちらを見てくる。
その視線の圧力に耐えきれず視線をスマホに落とす。
スマホの時計を見るとあと5分で電車が来る、助かると思った。
安心すると同時にシャカシャカ音が全く聞こえなくなっていることに気づく。
代わりに後方から生臭い臭いがする。
反射的に振り返ると目の前にあの男の顔があった。なんの感情も読み取れない。
視線と無音だけがそこにはあった。
カーンカーンカーン
踏切の音で静寂は切り裂かれた。
男はなんの表情も示さぬままホームの先の闇に歩いて消えて行った。
時刻通りにホームに到着した電車に飛び乗った。
その日はどうやって帰ったか覚えていない・・・すまない、話を盛った。普通に立川駅で降りてバスに乗って帰ったよ。
でもあの日以来イヤホンが必需品になったのは本当なんだよ。
駅だけでなくてね、今は家でもつけっぱなしだよ。
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