東京の某繁華街でバーを経営しておりまして、ええ、もちろんこんなご時世です、気楽なオーナーではなくバーテンダーとして毎晩働いておりますよ。
こんな場所で働いているとやはりお客様から変な話、奇妙な話を多く聞きます。
え?幽霊とか怪奇現象かって?
まあそういうのもあるんでしょうが、いかんせん話してるのは半グレやアル中、ヤク中、ギャン中、ホスト、ホステス、その他諸々。まるでダメ人間の見本市ですので、話の中身に信用なんてありませんよ。
ただ、面白いなと思うものはなんだか忘れないものです。
これは常連の中年男性の亀井さん(仮名)から聞いた話です。
彼はなかなか悪どく手広くビジネスを展開されており、まあ今の言葉で言うと半グレですね。ええ、羽振りはすこぶるいいですよ。
ただ彼は趣味嗜好に少し問題がありまして。
まあその、SEX依存症というんでしょうかね。とにかく女遊びがやめられない。しかも相手は若くて可愛い娘じゃなきゃ嫌だという、ずいぶん面倒な嗜好の持ち主でして。
風俗に行くこともあるそうですが、最近はどうやら立ちんぼ嬢にハマっておりましたねぇ。
女の子の顔を間近で見て決められるし、金額も店と違って交渉の余地があるというのもスパイスになったみたいで、傍目にものめり込んでいましたねぇ。
そんな彼がしばらくご無沙汰になってしまった時期があり、やばいかもなぁと思っていたら、数週間ぶりに来店されました。
「おや、亀井さん、ご無沙汰です。」
「いやー、マスター久しぶり。」
「最近お顔を見ていなかったので心配していましたよ、お忙しかったんですか?」
「いやね、実はしばらく留置所にぶち込まれててねえ」
「・・・未成年ですか?」
「不法侵入」
「はい?どこに?」
「まあ聞いてくれよ。というかこの話をどう思うか考えて欲しいんだよ。
あの日いつものようにあの公園の周辺に立っている女の子を物色していてね、そしたら初めて見る娘だと思うんだけどいい娘がいてね。
肌も髪も服も白でね、ゴスロリってあるじゃない?あれを全身真っ白にしたやつみたいな。
ツラも幼いというかロリっぽくて、これはもう堪らないと思ってね、いくら?と聞いたら、鈴みたいな震える声で「3万円、ホ代はいらない」と答えたんだわ。
金はあるんだけどさ、やっぱりこういうのって値切れば値切るほど相手の尊厳を踏み躙った気分になるんだよな、鬼畜?マスター、あんたがそれを人に言うかね。
まあ、だから色々難癖つけて2万5千円まで値切れたんだわ。
ホ代はいらないってことはどこかやり部屋みたいなものでも確保してんのかって聞いたら、一言、ついてきて、って。急に大人びた雰囲気になってよ。
黙ってその娘の後ろを歩くこと5分くらいかな。汚ねえアパートの2階に着いたのさ。
その娘が鍵で部屋を開けると中は外観以上に汚くてよ、間取りは1Rで部屋の奥に布団が敷いてあるがそれもなんか薄汚いように見えて、この上に寝転がるのは無しだな、壁に手つかせて立ちバックにするか、とか算段を立ててたわけよ。
そしたらその娘がよ、先にシャワー浴びてくるから待っててというんで、これはむしろ後で押し入って中で合体しちまった方が衛生的だなと考えて、その娘が風呂場に入っていくのを見送ったのよ。
シャーってシャワーの水音が聴こえたからそろそろかなと裸になって突撃しようとしたら中から鍵をかけてやんの。
風情がないねぇとか愚痴りながら全裸待機してたんだがよ、一向にその娘が出てこない。
おいおい、おじさん風邪ひいちゃうよとか言いながら風呂場のドアをダンダンと叩いたんだが反応がない。
怖くなっちゃったのかなぁとか思ったんだがこっちも払うもんは払ってる。
よく見たら風呂場のドアの鍵は10円玉かなんかで回せば外からでも開けられるような構造になってたから、今すぐいくねぇってさ、鍵を開けて中に侵入したのよ。
そしたらさ、中に誰もいないわけよ。
シャワーは勢いよく流れてるんだけど肝心のあの娘がどこにもいないのよ。
あれぇ、どういうこったいと完全に思考停止しちまって、とりあえず服着るかと脱いだ服を着てたらドアの鍵が回るガチャって音がして、男が入ってきたのよ。
俺もその男も完全に固まってしばらく時間が止まったようだったが多分2秒もなかったろうな。
すぐに男は何も言わずに部屋から出ていって外からドアを閉めやがった。
なんかわからんがとにかくまずいと思って窓から飛び降りて逃げようと思ったが、窓の外は目の前が隣の壁でとても出られそうにない。
仕方ないから玄関ドアから出ようとするがおそらく男が反対側から押してるんだろうな、ドアは全く開かなかった。
出せー、ふざけんなぁ、殺すぞー、とか意味もなく怒声を張り上げたが状況は変わらず。
そしてしばらく奮闘したが警察官が到着してそのまま不法侵入で逮捕。
現行犯逮捕の割にすぐに出てこれましたねってか?まあ優秀な弁護士先生がいて助かったわ。
ちゃあんと色々調べ上げて俺がむしろ被害者だって方向にもっていってくれたわけよ。
そんでようマスター、この話どう思うよ。」

























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