退院した彼女は、私に
「幸せな恋をしなくちゃ駄目だよ」
その言葉を口にした彼女の表情は、今でも忘れられない。
とても悲しそうだった。
彼女は養育費と生活費を支払い、彼は家賃や借金の返済をしていた。
二人なりに、生活を成り立たせようと必死だったのかもしれない。
退院してしばらくすると、彼女はまたソープに戻った。
けれど、やはりというべきなのか。
数ヶ月後、彼女は再び入院した。
その時、医師から
「次に入院したら、もう続けられないよ」
と忠告されたと彼女は話していた。
それでも彼女は働いた。
生活費のため。 養育費のため。
そして、彼を支えるためだったのだと思う。
私は一度、彼に聞いたことがある。
「彼女と結婚する気はあるの?」
彼は、はっきりと
「ない」って答えた。
バツイチで子供もいる。 借金もある。
だから、もう二度と結婚するつもりはないのだという。
彼女も、そのことは承知していると聞かされた。
それから、どれくらい経っただろう。
彼女は三度目の入院をした。
もう、ソープでは働けなくなった。
お金を作る場所を失ったからなのか。
彼から何か言われたのか。
それとも、私の知らない何かがあったのか。
今となっては、何も分からない。
ただ、退院してから彼女の家を訪ねた時
そこにいた彼女は、以前の彼女とはまるで別人だった。
何も話さない。
ただ、ぼんやりと座っている彼女は、うつ病になっていた。
彼女を横目に、彼は
「彼女もこんなだから。俺たちは、もう終わりだよ」
あまりにも残酷な言葉だった。























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