奇々怪々 お知らせ

心霊

霊感のある主婦の暇潰しさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

最後の訪問
長編 2026/08/19 20:04 6,623view
0

そこで私は、初めて祖母と叔父の生活について詳しく聞かされた。

叔父は働かず、祖母のわずかな年金だけで生活していたらしい。
以前は一軒家に住んでいた。
ところが、祖母は、
「近所から『家がボロい』って言われちまうぞ」
と言い始め、見栄のために、その家を売却した。
そして、物凄く家賃の高いマンションを借りた。
さらに、自分の兄弟には、
「マンションを買った」
と嘘をついていた。
しかし、一軒家を売ったお金も、やがて底をついた。
家賃が払えなくなり、最後にはボロボロのアパートへ。
わずかな年金だけで、祖母と叔父の二人は暮らしていたという。

貯金は、ゼロ。
癌で入院していた祖母の入院費まで、私の家が支払っていたことを、その時初めて知った。

そして私は、棺の中にいる祖母を見た。
何十年ぶりに見る祖母だった。
けれど、棺のそばまで近づいた瞬間、全身が強張った。

近づいちゃいけない

そう感じた。
言葉では説明できない。
ただ、そこに凄まじい負のオーラが漂っているように感じた。

「お母さん……私、近づけない」
私は母の腕を掴んだ。

けれど、そんなことを言っていられる状況でもない。
母と一緒に、恐る恐る棺へ近づいた。

そこには、祖母がいた。
何十年も見ていなかった顔。
「こんな顔だったな……」
そう思った。
父は泣いていた。
祖母の顔を撫でながら、
「みんな来たぞ。良かったな……」
そして私に、
「ほら。お前に会いたがってたんだから、顔を触ってやれ」
と言った。
父のためにも、触ってあげた方が良かったのだと思う。
けれど、私はどうしても触れることができなかった。
その場では、お坊さんも呼ばれず、お経もなかった。
火葬だけだった。

4/7
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。