そこで私は、初めて祖母と叔父の生活について詳しく聞かされた。
叔父は働かず、祖母のわずかな年金だけで生活していたらしい。
以前は一軒家に住んでいた。
ところが、祖母は、
「近所から『家がボロい』って言われちまうぞ」
と言い始め、見栄のために、その家を売却した。
そして、物凄く家賃の高いマンションを借りた。
さらに、自分の兄弟には、
「マンションを買った」
と嘘をついていた。
しかし、一軒家を売ったお金も、やがて底をついた。
家賃が払えなくなり、最後にはボロボロのアパートへ。
わずかな年金だけで、祖母と叔父の二人は暮らしていたという。
貯金は、ゼロ。
癌で入院していた祖母の入院費まで、私の家が支払っていたことを、その時初めて知った。
そして私は、棺の中にいる祖母を見た。
何十年ぶりに見る祖母だった。
けれど、棺のそばまで近づいた瞬間、全身が強張った。
近づいちゃいけない
そう感じた。
言葉では説明できない。
ただ、そこに凄まじい負のオーラが漂っているように感じた。
「お母さん……私、近づけない」
私は母の腕を掴んだ。
けれど、そんなことを言っていられる状況でもない。
母と一緒に、恐る恐る棺へ近づいた。
そこには、祖母がいた。
何十年も見ていなかった顔。
「こんな顔だったな……」
そう思った。
父は泣いていた。
祖母の顔を撫でながら、
「みんな来たぞ。良かったな……」
そして私に、
「ほら。お前に会いたがってたんだから、顔を触ってやれ」
と言った。
父のためにも、触ってあげた方が良かったのだと思う。
けれど、私はどうしても触れることができなかった。
その場では、お坊さんも呼ばれず、お経もなかった。
火葬だけだった。

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。