早すぎる気がした。
もっと休んでもいいのではないかと思った。
だが先輩さんは苦笑しながら言った。
「家にいるとさ」
「どうしてもヨウコのこと考えちゃうんだよ」
「仕事してる方が気が紛れる」
そう言っていたという。
実際、復帰後の先輩さんは以前と変わらなかった。
仕事もきちんとこなしていた。
同僚とも普通に話していた。
少なくとも表面上は。
だから山下さんも少し安心していた。
だが、ある日のことだった。
仕事終わり。
先輩さんから声を掛けられた。
「ちょっと相談があるんだけど」
その表情はどこか真剣だった。
当時はコロナ禍だったため、店ではなく山下さんのアパートで話を聞くことになった。
そこで先輩さんは静かに語り始めた。
「ヨウコが亡くなったことはさ」
「覚悟してたんだ」
「いつか来るって分かってた」
そこまで話してから、少しだけ俯いた。
「でもさ……」
「亡くなる直前、喧嘩したんだよ」
原因は本当に些細なことだった。
冷蔵庫に入っていたデザート。
どちらが食べたか。
そんな程度の話だったらしい。
「もういい!」
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