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不思議体験

montageさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

置き配の写真に、私が写っていた
長編 2026/08/10 11:14 684view

それから1か月後。
別の街に引っ越した。
通販も使わない。
置き配もしない。
実家から何か送るときも、必ずコンビニ受け取りにしてもらっている。
防犯カメラも付けた。
今のところ、何も起きていない。
だから、もう大丈夫だと思っていた。
昨日までは。

昨日の夜、友人からメッセージが来た。
「誕生日プレゼント送ったよ」
私の誕生日が近いことを思い出して、サプライズで送ってくれたらしい。
住所は引っ越したときに教えていた。
私はすぐ電話した。
宅配便はやめてほしいと伝えようとした。
でも、もう届いていると言う。
「届いてないよ」
そう答えると、友人が少し黙った。
「え? でも配達済みになってるよ」
「置き配?」
「いや……手渡しって書いてある」
嫌な汗が出た。
「何時?」
「今日の午後2時18分」
私はその時間、ずっと家にいた。
リビングで仕事をしていた。
インターホンは鳴っていない。
玄関にも行っていない。

「伝票番号送って」
友人から番号を送ってもらい、すぐ配送会社に電話した。
事情を説明すると、担当の配達員に確認してくれることになった。
10分ほどして折り返しが来た。
知らない男性の声だった。
「本日のお荷物ですが、確かにご本人様へお渡ししております」
「私、受け取ってません」
「ですが……女性の方が出てこられて」
心臓が強く鳴った。
「どこからですか?」
「どこから、というのは?」
「玄関から出てきたんですか?」
男性が黙った。
「……はい」
「ドアを開けて?」
「はい」
私は玄関を見た。
リビングから、廊下の先にドアが見える。
ずっと鍵はかかっている。
チェーンもしてある。
「その人、どんな服でした?」
電話の向こうで、配達員が少し考えた。
「白いTシャツに……紺色っぽいズボンだったと思います」
息が止まった。
あのときなくなった服。
「顔は?」
「お客様じゃないんですか?」
「違います」

配達員が黙った。
しばらくして、
「あの……」
と小さな声で言った。
「何ですか」
「ちょっと変だなとは思ったんです」
「何が?」
「荷物を渡したあと、その人に言われたんです」
嫌な予感がした。
「何て?」
男性は迷ってから答えた。
「『今度はちゃんと、中まで持ってきてくださいね』って」
私は何も言えなかった。
「意味が分からなくて。冗談だと思ったんですけど」
その瞬間。
玄関の防犯カメラから通知が来た。
「人物を検知しました」
私はリビングにいる。
玄関までは廊下を挟んで10メートルほどある。
スマホでカメラを開いた。
玄関には、
誰もいなかった。
ただ、
さっきまで掛かっていたはずのチェーンが、
外れていた。
電話の向こうで配達員が何か言っている。
でも、もう聞こえなかった。
玄関のドアノブが、
ゆっくり下がった。

7/8
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