山岸さんの言葉を思い出す。楽しめるか。
俺の住んでいるマンションまではその女の前を通らなくてはいけない。
とりあえず、俺はその女の手を注視していた。
こいつが山岸さんの出し物だろうと都市伝説的なものであろうと殺人鬼であろうと、俺に危害を加えるならまず手を動かす。ならその手さえ見ていればこちらも対処できる。
じっと手を見つめてそいつに近づく。
薄汚れた赤のコート。
両手はぶらんと下ろしたまま。
爪の先が汚れているのが目に入る。
汚れた赤のヒール。
俺はそいつの前を通り過ぎて、注視したままマンションの入り口に辿り着く。
女との距離が十メートルほど開いたところで、俺はそこで初めて女の顔を見た。
女は気色悪い笑顔でこちらをじっと見ていた。
そこからである。
仲間内の飲み会、仕事の集まり、果ては立ち寄ったバーでさえ、異常な頻度で怪談話をせがまれるようになった。
せがまれているというよりは、誰かが怖い話をし始めて、当然こちらにもあるよね?と言う顔で見てくる。
山岸さんの計画がどう言ったものかはわからないが、何かに参加してしまっていることは確実だろう。
俺は仕方がないので、毎回、呪われたノートを貰って、霊感女に注意されて、電柱で赤い女を見たことを話す。
すると周りは異常に怖がる。
「やっぱり幽霊っているんだ」
「心霊現象って本当にあるよな」
何かを確かめるように言い合っていた。
家に帰って、アマゾンで頼んだブラックライトを手に取る。
部屋の電気を消して、呪われたノートの血文字の部分を照らすと、淡い青が浮かび上がってルミノール反応を示していた。
この血文字は本物である。
なんの血かは知らないが、たかが『小道具』にしてはコストがかかっている。
部屋の電気をつけて、もう一度内容を確かめようとノートを開いて読み進めると、やはり日記の主は赤の服をよく着ていた。
しばらく、ノートを眺める
その時、



























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