「今日は模試があるんだよね?もう来年から受験生だもんね。頑張ってね!」
今日の朝も、母は私に弁当を持たせ、明るい声でそう言った。
物心ついた時から今に至るまで、母は理想の母親であり続けた。
あの日以外は。
間違いなく私の内面を祖父と入れ替えようとする悍ましい集団の一人だった、あの日以外は。
「ん、頑張る。5時くらいには帰るから。
じゃあ、行ってきます」
私はそう言いながら靴を履き、玄関の扉を開けた。
どこにでもいるような、仲のいいごく普通の親子の光景だ。
私は今でも、あの時の悄然とした目と、私に向けて微笑んでいる、据わった穏やかな目が全く同一の目だという事実を受け入れられないでいる。
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