「こちら警察です。どうされましたか?」
「家のチャイムをずっと鳴らしてくる人がいるんです!!!!声をかけても無視されて、ずっとピンポンを押してくるんです!!!」
「落ち着いてください。今も鳴らしていますか、相手の姿は見ましたか。」
「怖くてみてません!!!急いできてください。今も鳴らしています!!」
「分かりました。警察官を向かわせますので、住所を教えてください」
私は大粒の涙を流して震える声で住所を言いました。その間オペレーターは電話を切らず待っていてくださいと私に言いました。
警察がもうすぐ来る。こんな恐ろしいことをしてくるソイツを逮捕してくれる。命は助かる。
そう思って少し安堵して冷静さを取り戻したころです。
アレ?鍵閉めたっけ?
そういえば、ピンポンが止んでる?
私は「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫び、急いで玄関に向かいました。
玄関に近づくと、ドアは閉まっていましたが、私が近づいたそのタイミングでドア越しの”ソイツ”は少しドアを開けてきたのです。
背筋がゾワゾワッ!!となり、ありったけの力を込めてドアを閉め、チェーンを閉めました。
ひいいいいいっと声を漏らした私は玄関で腰が抜けてしまい、その場で動けずにいるとソイツは怒り狂ったように、ドンドンドンドンドン!!!!!ピーンポーンピーンポーンピーンポーン!ドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!とドアを思いっきり殴りチャイムを鳴らしてきました。
腰が抜けても、人の頭は不思議なもので、ドアを閉めている限りは安心、ここは高い階層だから絶対ベランダにはあがってこれない。
そう判断した私はその場から離れ、急いで布団のある部屋に向かい布団を被り「ママ、ママ」と泣き続けました。
チャイムやドアを殴る音は止まることがなく、冷たい機械音と悪意だけがリビングを支配していました。
十分くらい経った頃でしょうか。遠くからサイレンの音が聞こえてくるとチャイムは鳴り止み、さっきのことはまるで夢だったかのように思えてきました。
数分後にまたチャイムが鳴ったので、私は身をビクッとさせましたが、玄関から
「警察です!大丈夫ですか!!」と声がしたので、モールで迷って泣きじゃくった子供が、母親の姿を見つけて飛びつくような、そんな気持ちで玄関を開けました。
そこには警察官2人が私を心配そうに見ており、事情を詳しく話し、母親の連絡先を教えました。
もう一人の年配の警察官が私をたしなめるように「こんな時間まで起きてちゃ駄目だろう。パトロールするから、早く寝なさい。」そう言うと玄関を優しく閉め、私は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を洗い、疲れ切った状態で朝を迎えました。
母親は私に電話をかけてきて、最初はなぜすぐ自分に連絡しないのかと怒っていましたが、今日帰るから。と彼氏との旅行を切り上げて、夜に帰ってきてくれました。
その後は引っ越すまでそういったことは起きませんでしたが、
あの時、玄関に気付いてなかったら、死んでいたのかな。
ドア越しのソイツは一体誰だったんだろう。なんでターゲットは私だったんだろう。と今でもふと思い出すのでした。


























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