「近づいたらどうなるんだよ」と聞かれると、
四宮は淡々と答えた。
「……憑かれて、一生祟られる……かも」
それ以上は何も言わなかった。
四宮だけが墓地に入り、僕らは外で耳を澄ませていた。四宮の声が聞こえる。笑っているような、なだめているような、時折、押し返されるような気配もした。そのたびに、風が急に荒れた。木々が大きく揺れ、枝がぶつかり合う音が響く。風向きが一定じゃなく、まるで何かが暴れているみたいだった。
諸徳寺の感情がそのまま吹きつけているように思えた。
なにを話しているかはよく聞こえない。
「四宮って根暗だと思ってたけど、コミュ力高くね」
「てかなんでアイツだけ諸徳寺んとこ行って平気なの」
「いつも一人だったから、恨まれることもなかったんでしょ」
軽い会話が、夜の空気の中で妙に浮いていた。
一時間ほどして戻ってきた四宮は、妙にあっけらかんとしていた。
「諸徳寺くんだけどね……みんなが思ってる以上に、根に持つタイプだったよ」
その言葉だけで、背筋が冷えた。
四宮は続ける。
「頭を叩かれたの、ずっと覚えてるって。
挨拶を返してくれなかったのが寂しかったって」
淡々とした口調なのに、言葉だけが重かった。
「妬まれても仕方ない言い分もあるけど、『あの時睨んだ』とか『給食に髪の毛入ってた』とか、やっかみみたいなのも混ざっててさ。自分よりテストの点が高いのも“嫌がらせ”だと思ってたらしい」
四宮は少しだけ息をついた。
「……諸徳寺くん、みんなの前では明るくしてたけど、本当は繊細で無理してテンション上げてたんだよ。でも……ちょっと思い込みが強いところもあってね」
誰かが思い出したように言った。
「そういえばさ、諸徳寺ってトイレに籠って指で扉つつきながら、なんかブツブツ言ってたよね」
「そうだったっけ」
「気づかなかったな……」
みんな、後悔とも違う、同情とも違う、なんとも言えない顔をしていた。
僕はぽつりと言った。
「……知りたくなかったね。諸徳寺くんのこと、亡くなってから」
その言葉に、全員が静かにうなずいた。

























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