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ヒトコワ

みずなっぱさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

あの子の真意
短編 2026/03/02 00:00 77view

「じゃあ一人で遊ぶので入れてください」

そう言いました。
「えっと…ごめんね、今は家に入れられなくて…」
お母さんはそう言うと返答も待たずインターホンを切りました。

「弟と遊ぶ」なら、まだ分かる話ではあります。
小学校が同じなので、私の知らない所で弟と仲良くしてくれていた可能性もなくはないですから。
ただ「私の母と遊ぶ」や「一人でこの家で遊ぶ」。そう言った時点で、家に来た理由が「遊びたいから」ではなく「私の家に入りたかった」なのが明確なんです。

私は怖くて怖くて仕方がありませんでした。
どうしてこの子に喋りかけてしまったんだろうと思いました。
Mちゃんは諦めて帰ったのか、夜に両親と出かけるため外に出たときにはもう玄関にはいませんでした。

嬉しいことに、私の家は周りと比べると比較的広い家でした。憶測にはなりますが、Mちゃんはそんな私の家に入りたかったのではないでしょうか。

実は一度、私はMちゃんの家にお邪魔したことがあります。Mちゃんの家は、正直言って汚かったです。
全体的に暗く狭く、ゴミが散乱していて、洗っていないお皿がシンクにたまっていました。
Mちゃんの母はソファに寝転がり、たばこを吸っていました。Mちゃんの母の袖からのぞいた腕には切り傷がたくさん残っていました。

もちろん、そのような環境で育った人すべてがMちゃんのような人だとは思っていませんが、Mちゃんには私の家や生活に対しての羨望か、はたまた妬みか、そういうものが少しはあったのではないでしょうか。

その件以来、私はMちゃんとあまり話さないようにしました。話しかけられても最低限の返事しかしないようにしました。
もう、Mちゃんが怖かったからです。

その後、母から聞いた話によると、Mちゃんは弟をいじめたことがあったようです。
詳しくは聞いていませんし、今聞く勇気もありませんが、その話を聞いた私は、あの「弟と遊びます」がよりおぞましく感じました。

私の家で遊びたかったのか、自分の家庭から少しでも離れていたかったのか、それとも全く別の理由があったのか。Mちゃんの真意は分かりません。

私の脳裏には、あの意図の読めない発言が今でもこびりついています。

「じゃあ一人で遊ぶので入れてください」

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