囁くような声なのに、
まるで耳元で直接言われたような近さ。
恐怖で体が動かなくなり、そのまま床に倒れ込んでしまいました。
次に目を覚ました時には、朝になっていました。
夢だったのかと思い、ドアを開けようとした瞬間――
ドアの内側、床すれすれのところに、無数の爪痕が残っていたんです。
外からじゃない。
明らかに、内側から必死に引っかいた跡でした。
すぐに管理会社に連絡し、俺はその部屋を出ました。
後で聞いた話ですが、あの部屋では以前、
夜中に足を切断されて出血により死亡した女性がいたそうです。
その足は今でも見つかっていないそうです。
きっとあの足音は今も見つかっていないその女性の足で、ひっかき痕も、その女性が必死に助けを求めようとはいつくばっていたのだろうと容易に想像出来ました。
それそれが分かった今でも――
廊下の足音がすると、俺はドアを確認できません。
……そこに立っているのが、人とは限らないですから。
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