影はぴくりとも動かない。
まるで歩く途中で止まったかのような姿勢。
(……とにかく離れないと。)
背中を向けるのが怖くて、横目で影を捉えたまま後ずさる。
それでも影は動かない。
なんとか家に辿り着き、その夜はそれ以上何も起きなかった。
⸻⸻⸻
翌日、昨夜の出来事を彼氏に話した。
“怖かった”というより”気味が悪かった”と。
「なにそれ。見間違いだろ。」
彼は笑った。
それでもその日からバイト帰りは一緒に帰ることになった。
⸻⸻⸻
その夜。
バイトを終えると彼氏と2人で帰宅する。
ギュッ。
問題の場所に近づくと、私は無意識に彼の腕を掴んでいた。
「……ねぇ。」
昨日、影が立っていた場所。
「……あれ…。」
彼も目を見開いている。
「……あぁ。俺にも見えてる…。」
影は昨日と同じ場所に立っていたのだが、1つだけ違っていた。
歩く途中の姿勢のまま、右手を私に向かって伸ばしている。
しかも、なんだか昨日より近い気がする。
影はやはり動かない。
一秒、二秒、三秒。
耐えきれず、私たちは踵を返して走り出した。
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