時刻は既に十一時を回っていた。
主人は横でイビキをかいている。
私は昼間に起こった不思議な出来事に思いを馳せた。
垣根を移動する三角の烏帽子のような何か。
鳴り響いていた荘厳な鐘のような音。
微かに覚えがあった。
記憶の糸をいくつか手繰り寄せてみる。
やがて今年春のある出来事が脳内に甦ってきた。
それは家族4人で行ったシンガポール旅行でのこと。
観光名所の一つである寺院を訪問した時、僧侶たち十数人が仏閣内で座禅を組んでいた。
その時確か今日昼間に聞いた音と同じような荘厳な鐘の音が聞こえていたと思う。
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そしてしばらく思い出に浸っていると、
ポォォォォォォォォンンンンンン!……
いきなりまた、呼び鈴が鳴った。
心臓の拍動が一気に上がる。
思わず、主人を見た。
熟睡しているのか全く気がついていない。
ポォォォォォォォォンンンンンン!……
また、鳴った。
私はガウンを羽織ると主人を起こさないようにソロリソロリと寝室を出て居間に行くと、壁にあるインターホンの受話器をゆっくりと外す。
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