やがて自分の部屋の前に声が止まったとき、Aはふと“飽き”を覚えた。
当初抱いていた恐怖心などは消えむしろ何度となく続く同じ展開に飽き飽きしていたようだ。
そこで、Aは大声で言った。
「百合子さん呼んでるよー」
すると、Aの部屋の中から足音がこちらへ向かってくる。
視線を玄関から部屋の方に向けると、片腕の無い30代ぐらいの女性が
「はーい。今開けますねー」
と笑顔でこちらに向かって来ていた。
手を伸ばせば届く距離まで来たところで、Aは飛び起きた。
この話自分はここまででも十分怖かったのだが、Aはこう締めた。
「でも俺、ずっと夢の中で見ていた部屋って自分の部屋だと思ってたんだけど。
今日お前の部屋来て気づいたわ。──あれ、ここだ。」
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