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フッ、と、泣き声が止んで、扉が開きました。
「大丈夫?!」
って、今にも泣きそうな顔した彼が扉の向こうに立ってて。
思わず抱きしめて、子供みたいに泣きました。
聞けば、仕事中何気なく位置情報アプリ見てたら、位置情報が見れなくなってて、圏外って出たみたいで。
心配になって仕事切り上げて飛んできたみたいです。
彼がメンヘラであることに心から感謝したのはこの時が初めてです。
彼がメンヘラなのは、私が大切で大好きだからなんだって思いました。
でも、おかしいですよね。だってここ、彼の部屋ですし。
隠し扉のこと知らなかったんですかね?
それに、どうやってドアノブの無い扉を開けたのか気になったんで、扉の方を見ました。
普通についてるんですよ。ドアノブ。さっきまで無かったのに。
気が動転してたんで、この部屋何?って聞く前に、
あ、ドアノブ…ドアノブなんで?って聞きました。
そしたら、
『あ、これ、取り外せるんだよね』って。
そこでハッとして、全部繋がっちゃいました。
恐る恐る、この部屋は……?って聞くと、
彼は見たことないくらいの無表情で、虚ろな目をして、
『だって、誰にも取られたくなかったから』
って。
[完]
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