なんで赤ちゃんは現れないんだろうって。
それで、なんとなく赤ちゃんの声がする方に行くと、
今まで怖くて近寄らなかったから気が付かなかったけど、壁紙に長方形に線が入ってて、それがちょうどドアの形に見えたんです。
なんか、開きそう…?って思ったけど、ドアノブが無い。
モヤモヤしてたら、急にそこが開きました。
ギィーって音を立てて、ひとりでに開いた隠し扉。
やめとけばいいのに、思わず中に入っちゃいました。
そこは4畳くらいのスペースの部屋で、壁も床もコンクリート。足の裏で冷たい感触を感じて、思わず背筋も震えました。
部屋にはほとんど何も置かれてませんでしたが、部屋の真ん中に黄ばんだ紙切れと、干からびた”へその緒”が置いてありました。
紙切れには、
『もう、あなたとは付き合っていけないから、これは私からの仕返しです』
って書かれてて。しばらく呆然とその紙もったまま立ち尽くしてました。
すると、背後で、
ギィィー……って音がして。
すぐに振り向きましたけど、遅かったです。隠し扉、勝手に閉まっちゃったんです。
その瞬間でした。
部屋の、四方八方、ありとあらゆるところから、赤ちゃんの、子供の、嫌に明るい笑い声が、
キャハハハハハハハハハハハハハハハハ
キャハハハハハハハハハハハハハハハハ
キャハハハハハハハハハハハハハハハハ
って、聞こえてきて。
それと同時に、背後からものすごい嫌な気配を感じて、振り向かずに扉に向かって走りました。
すぐに部屋から逃げようとしましたけど、内側にもドアノブが無いし、開けようにも開けられない。
死に物狂いで、扉をバンバン叩いて、叫びました。叫び続けました。
その間も、ずっと、
キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
って声が。ものすごい笑い声がしてて。
耐えきれず振り向くと、どこから湧いたのか、大量の蛆虫が、四つん這いの赤ちゃんみたいな形に集合してて、こっちに近づいてくるんです。
キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
って言いながら。
怖いなんて考えてる暇すらもなくて、とにかく必死でした。全身から変な汗が吹き出して、ものすごい悪寒がして……
もう、喉が取れるくらい叫びました。
心の中では、もう助からないんだろうなって思いながら、恐怖で頭がどうにかなりそうなのを、自分の大声で誤魔化すように、叫びました。
「助けてー!!!だれか、、誰か助けてー!!!!」
「誰か!!!出して!!ここから出して!!!!!」






















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