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不思議体験

辻村さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

応答
短編 2025/11/03 23:20 1,114view

先日、不審な電話がかかってきました。
基本的に登録されていない番号からの着信には出ないようにしているのですが、
その日は通販で頼んでいた荷物の到着予定日だったので、
宅配業者かと思い出てしまいました。

相手は何も話しませんでした。
無音というわけではなく、なんとなく息遣いのようなものは感じたので、
もしもし、と言うと相手が話し始めました。
それは日本語ではあると思うのですが、絶妙に認識できないというか、
存在しない単語の羅列のようなものを、ずっと発し続けるのです。
すみません、どちら様でしょうか。

そう返すと、相手は一瞬だけ大きく息を吸い込む音を立て、通話が切れました。

それから数日、同じような電話が何度もかかってきました。
番号は毎回違います。着信拒否をしても、また別の番号からかかってくる。
無視しても、時間をずらして必ず鳴る。
深夜二時や朝方など、生活の隙間を縫うようなタイミングでした。

気味が悪くなり、友人に相談しました。
好奇心の強い友人に、録音してそれを聞かせてくれと頼まれたので、
方法を調べ、友人と試してみました。
こちらの声も友人の声もしっかり録音されることを確認して、
その日の夜、あの電話がかかってきました。

いつも通り、もしもしと私が言うと、相手が何かを話し始めました。
しばらくして通話が切れ、録音を確認しました。
録音されていたのは、「もしもし」と言った私の声だけ。
それ以外には何も、残されていませんでした。

それ以来、電話が鳴るたびに体がこわばるようになり、
気が滅入ってしまい、電話番号を変えることにしました。

携帯ショップで整理券を取り、順番を待つ。
その時、ポケットの中でスマホが震えました。
知らない番号からの着信。
またあの電話だろうとは思いましたが、
もうすぐ電話番号を変える私は、
最後にもう一度出てやろうと思い、応答ボタンを押しました。

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