雄太さんは泣いている兄を見て自分が死んだことに気づいたのか、血塗れの手をじっと見つめて悲しそうな顔をした。
そして兄のほうに目を向けると、少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「ごめん、ありがとう」
そう囁く声が聞こえた気がした。
その後どうやって部屋に戻ったのか全く記憶に無いが、気づくと俺は自分のベッドで爆睡していた。
不思議なことに兄の記憶からは昨晩の出来事がすっかり抜け落ちており、自分が泣いていたことすら覚えていないらしい。
しかし、兄の夢に雄太さんが出てきたらしく
「車大事にしてくれよ。あとお前は事故るなよ!」
と言われたらしい。
雄太さんの車を貰った他の人達が同じ体験をしたかはわからないが、彼が無事成仏できたことを願う。
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