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ヒトコワ

夜鷹とペンさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

クリスマスイブ
短編 2025/10/15 13:53 1,393view
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私は都心部で働いていて、とあるベッドタウンの大型マンションに住んでいます。
仕事が終わり家に帰ると2時間ほどパソコンでドラマを見るのが私の日課でした。
今日は疲れているのかなんとなく眠かったのでカフェインを求めマンションのすぐそばにある自販機でコーヒーを買うために外に出ました。
エレベーターからおり、マンションのエントランスを歩いていると、赤い服を着た人とすれ違いました。
二度見するとそれは真っ赤な服と白い髭、大きい袋を背負ったサンタクロースだった。
恋人もいない私は(そうだった、今日はクリスマスイブか…)としか思いませんでした。
エントランスの目の前の道路の端に大型のワゴン車が止まっていた。
12月末の夜の外気は冷たく私はセカセカとワゴン車の横を通り、道の反対側の自販機に向かい、100円玉を入れ、一番安いブラックのボタンを押す。
暖かい缶を握りながら自分の部屋に戻ると隣の部屋のインターホンに向かってサンタが話しかけていた。
(そうか、隣の部屋にも7歳ぐらいの兄弟がいたっけ)

そう思い部屋に戻った。
1時間ほど経って夜の11時半ぐらいだろうかパソコンでドラマを見ていると部屋のインターホンが鳴った。インターホンのカメラの映像を見てみると隣の部屋の女性だった。
開けると肩で息をし、酷く取り乱した状態で聞いてきた。
「す、すみません。うちの子供たちを見ませんでした?」
「いえ、見ていません。どうしたんですか?」
「帰ると二人とも家にいなくて…」
「えっ本当ですか?私も手伝います。警察には…」
「あっありがとうございます。さっき電話しました。」
「旦那さんは?」
「その、うちは母子家庭で…」

「ごめんなさい、つかぬことを聞いてしまって。お子さんの居場所でどこか心当たりは?」
「近くの公園に行ってみようと思います。」
ん、待てよ。じゃあ、あのサンタは誰なんだ?男性の声だから父親だと思ったけれども…
「突然悪いんですが、この近くに親戚などの男性はいますか?」
「…いいえ。私の母しか住んでいませんよ、それより早く公園を見に行きましょう。」
さっと血の気が引いた。
じゃあ、あのサンタは誰なんだ?
走って階段を駆け下りエントランスに向かい、道に出る。
ワゴン車はもう発車した後だった。

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