跫音　きょうおん

俺は中学の友達の、まぁ仮にたかしだとしよう。
そいつが一緒にマリ○カートしようぜといってきたので放課後にたかしの家にいった。
たかしの部屋でマ○オカートをしていると唐突に話し出した。
「たくや（俺の名前）、ちょっと聞いてほしいことがあってさ、」
「なんだよ、まじめ腐って。」
「まぁ、聞いてくれよ」
そう言って俺のルイー○に甲羅をぶつけながらたかしは話し出した。

俺は最近新しく買ったモンスターハ○ターに夢中になっていた。
ちなみにオススメの武器は操虫棍だぜ。
まぁ、そんなことはどうでもいいか。
俺はモンスター○ンターに夢中なりすぎて親も寝静まった真夜中に一階のリビングからNintendo ○witchを部屋に持ち込み狩に勤しんでいた。
俺の部屋は廊下を挟んでトイレの真ん前にあるんだよ。
雑だけどだいたいこんな感じ。
ポーズを開いてゲームを一時停止し、宿題のプリントの裏に間取りを書き始めた。
雑だけど見てくれ。
ほら、トイレが廊下の突き当たりだからトイレに行こうとしたら絶対に俺の部屋の前通るから足音でトイレに行くってわかるだろ？
そしたらすぐに電源切って寝たふりするんだよ。
んでもって夜更かしを極めると足音で誰がきたかとかもわかるんだよな。
例えばトイレの換気扇のスイッチ音がしなかったら父さんだなーとかそんな感じ。
でもさ、最近変なんだよ。

なんというかな、革靴とかハイヒール履いてるみたいに足音が硬いんだよ。
カツカツというかコツコツというか、そんな感じの足音なんだよ。
うちはみんな裸足だからそんな足音になるはずないのにな。
しかもやたら早足なんだよ。
親が家ん中で革靴とかハイヒール履くっていう変なことしてるのもそれはそれで怖いんだけどさ。
まぁ仮にそうだったとしてももっと変なことがあってさ、普通に歩くとコツ、コツ、コツって感じだろ、でもさ、夜聞こえるのは歩数が多いというか、ココツ、コツ、ココツ、コツみたいな感じで若干食い気味なんだよ、足音が。
それにさ、俺の部屋の前でその足音が一回とまるんだよ。
その時に絶対音をたてちゃいけないって思ってじっとしてるとまた歩き出すんだよ。
なぁ、これって絶対変だよな…
そういったたかしの顔は今までみたことないほど真剣でおびえているように見えた。
その時、廊下の方からココツ、コツ、ココツ、コツという足音が聞こえてくる。
たかしの顔が青ざめる。
ドアを見ると少しだけ隙間が開いていて完全に閉まっていない。
たかしはコントローラーを放り出しドアを閉め、扉の前で震え出す。
俺も明らかに異常な足音からベトベトとした気持ち悪さを感じる。
コンコン、ドアがノックされる。
俺もドアにたかしの横に駆け寄りドアの前に座り込みドアが開かないようにする。
「タカシー、タクヤクーン。オカシトジュースト！＊懿痾？▶︎米モッテキタワヨー。」
は？
思考が停止する。なんなんだこの甲高くて抑揚のない声は。

遅れてより強烈な違和感に気がつく。
なんて言ってるんだよ、なんなんだよあの言葉にできない音は。
コンコン
「タ蚊シー、択ﾔクーン。ｵ火シと充ｽ扉@¥＞蛾ｷﾞｬ戯◀︎ﾓって喜多羽ﾖｵｵ」
吐き気がする。言語として認識できない音が耳から脳へ注ぎ込まれる。
頭が割れそうだ。
たかしを見ると頭を抱えて震えている。
コンコン
体が勝手に動く。ドアノブに手をかけひく。
痩せ細った腕のない体。肋骨の辺りから伸びる干からびた一本の腕。
3本の鹿の足。やたら細長い首。目が無理やり吊り上げられ瞼。
歯が抜け落ち真っ黒の穴になった口。
その奥から虚空と共に吐き出される異音
「咫架ｼ〜、多ク＠ﾔ゛＊吼〜ﾝ゛。お゛蛾糸と受ぅ゛圖ト　　　　　喪っ゛弖戯だ゛゛わよ゛っおゝｵｵっ゛ｵ＋＊」
あっ。
聞こえた。
そうか　　　　　って言ってたんだ。
胸の辺りから歪に生える腕が乾いた音を立てて伸びてくる。
俺の口は勝手に開く。
口の中に　　　　が滑り込み、食道を這いずり臓器に収まる。
意識がなくなる。