「レオ君のパパー!」
今ならまだ間に合うんじゃないかって、俺は声をあげた。
レオ君パパの去っていったほうに、Rと一緒にそう呼びながら早足で歩いてた。
でもレオ君のパパはどうやらこの辺に住んでて犬の散歩をさせに来ているわけじゃなくて。
駐車場まで車できてレオを散歩させに来てたようで、俺たちが追いつくより早く車にのってどっかに行ってしまった。
「あーあー」
「見たかった」
Rはそういってめそめそと泣き出してしまった。
「泣くなよ」
まるで俺が泣かせたみたいで俺は焦った。
「だって子犬触りたかったもん」
Rはもっと泣いてしまって俺はおろおろとした。
そんな感じで駐車場のそばでおろおろしてると、会えば絶対吠えてくるチワワのチェルシーちゃんのママが声をかけてきた。
「どうしたの? もしかしてどの子かに噛まれた!?」
チェルシーはママの横でアンアンアンアン鳴きまくってて、チェルシーちゃんのママが俺たちに飛びつかないようにリードを短く持つ。
「違う。なんかRがレオ君のパパに子犬見せてくれるって言われてたらしいんだけど。雨が降りそうだからまた今度って言われて追いかけたんだけど車でいなくなって」
Rが泣いてたのと、あまり俺が賢くなかったせいもあってうまく説明できない。
「本当にレオ君のパパだったの?」
「うん。レオの赤ちゃん見たかった」
Rがそういってうなずく。
「間違いない俺もみたもん。あのマルチーズのいつもよちよち歩いてるレオ」
「レオ君シニアだよ……、あー今日はもう帰ろうか、雨降りそうだし。おばちゃん途中まで送ってあげるわ……」
その間もチェルシーは狂ったように吠え続ける。

























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