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ヒトコワ

ゆきんこさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

レオ君のパパ
長編 2025/10/14 09:08 4,869view
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俺は地声がでかい子供だった。
マンション住みだったから、親からはもう少し小さい声でも聞こえるとか、そんな大きい声で話さないでとか結構注意された。
今冷静になると、ご近所さん俺がゲームでうまくいっても、うまくいかなくてもワーワーいってたからすごく迷惑な子だったが、その辺は時代に許されたと思う。

まぁ、注意されると一時的に気を付けるが、やっぱり遊びが盛り上がってくると糞デカボイスが発動するわけだ。

小学校が終わったらまっすぐ帰りなさい! って言われてたけれど。
5年生になった今も学校からマンションまでの帰り道は駐車場があって車で公園に来る人もいるくらいのでかい公園があって、ここを通ったら近道だからとか言い訳をして、いつも友達何人かと公園の中を通ってからの、いつの間にかランドセルをおきーの、遊びーのがいつものコースだった。

夕方になると、公園には犬の散歩をする人たちが結構きていて。
飼い主さんの一部は、犬を結構触らせてくれた。

犬の中にもかなりフレンドリーなのがいて、俺たちを見つけるとしっぽぶんぶん振って、ワン! ってないて呼ぶ奴もいたし。
まだ緩いときだったから、リードを少しながくして、犬に落ち葉をわーっとかけると喜ぶ子がいて、一緒に遊ばせてもらったりなんかもよくした。

そんな感じで、結構ペットを飼ってる人とは顔見知りになって。
柴犬系の血が入った雑種の虎徹は虎徹君のママ、マルチーズのレオはレオ君のパパとか。
犬の名前に女の人だったらママ、男の人だったらパパって呼び名をなんか大人たちが使ってたから、俺たちも自然と同じように犬の名前+パパママって名称で人を呼んでた。

この辺はマンションやアパートが多くて、ペット禁止で飼えない子が結構いて、俺たちのグループだけじゃなくて、女子のグループなんかも結構いて同じように犬を触らせてもらう光景をよく見かけてた。

毎週火曜日は放課後習い事してる子が多いのと、ここ最近は風邪が流行ってることもあって、俺は珍しく一人だった。
家に帰ってもつまらないしってことで、一人でも珍しく公園に寄り道してかえろーって思ったんだ。

途中でいつも触らせてくれる虎徹君のママとすれ違った。
雑種だけど人懐っこい虎徹が俺の足元にまとわりついて、なでてなでてってしてくるのを俺はわしゃわしゃっと撫でる。
「珍しいわね。今日は一人?」
虎徹のママが俺に話しかけた。
「風邪流行ってんだ~」
「あーだからか。もうすぐ雨が降りそうだから、残念だけど今日は皆もうほとんど帰っちゃったわよ」
「えーマジか!?」
「マジマジ、うちも洗濯物干してるからもう戻るわ。また虎徹なでてあげてね」
くーんとなく虎徹に名残惜しさを覚えた俺は、雨がもうすぐ降りそうってことだったけれど、まだいないかな? って公園に向かった。

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