日曜日の朝、私は自宅にてテレビのニュースを見ながら、外を見ていた。外は雨が降っていたのだ。
「もうすぐ、梅雨か・・・」
私はテレビを消すと、ハル・クレメントのSF小説「20億の針」を読み始める。雨はざあざあ降っていた。その時、誰かが玄関のドアを叩いた。私は玄関に行くと、長髪の女性が立っていた。女性は
「あのー?私宛の荷物がそっちに届いていませんでしょうか?」
「はい?」
「荷物届いていませんでしょうか?」
「ちょっと待って下さいな」
そう言えば昨日、住所を間違えて配送された荷物が我が家に届いたことがあった。もしかして、今玄関にいる女性は「荷物」の本当の郵送先の方かもしれない。私は女性に「荷物」を渡す。女性は
「ええ、これです。間違いありません」
と私に頭を下げる。女性は挨拶をすると出て行った。私は外に出て、女性を見送ったが、もうすでに女性の姿はなかった。いや、少し気になることがあった。女性はこの大雨の中、傘を所持していないのにも関わらず、服と髪が濡れていなかったのだ。もしかすると、幽霊か?そんなことを考えている時に玄関のドアをドンドン叩く音が聞こえた。私は玄関のドアを開ける。
そこにはスーツの男が立っていた。
「くんにちわ!あのーこの写真の女性を見なかったか?」
男は写真を見せる。その写真にはさっき、私の自宅に荷物を取りに来た長髪の女性だったのだ。私は
「さっき、私の家に「荷物」を取りに来たけど?」
と答える。
「なるほど、女性はまだこの近くにいるという事ですな。お嬢さん、情報ありがとうございます」
「そもそも、あんた何者なのよ?」
と男に質問する。男は突然、靴箱に足蹴りをかました。私は一瞬、ビクついてしまった。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?お嬢ちゃん、俺がいったい何者なのか知らないのかい!」
男は激高し、大声で怒鳴る。
「知らないわよ!じゃあ、あんたは私が何者なのか知っているの?」
私は怒り狂う男にそう答えた。男は冷静さを取り戻したのか、名刺を私の前に差し出す。名刺には
「興信所「Vast Active Living Intelligence System」職員 キ・リーン ソウルメイト募集中♡」
と書かれていた。そして、
「考察系探偵キ・リーンですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
と男は自己紹介を始めた。どうやら、キ・リーンは興信所の職員らしかった。キ・リーンは調査内容と女性(仮にS子とする)の素性をペラペラ話す。キ・リーンに調査を依頼したのはS子の旦那(なお、職業は京都地検の検事である)で、旦那が言うには
「S子は男と浮気しているかどうか調べてくれないか?もし、S子が浮気していることが発覚したら、検察官としての出世街道が断たれてしまう」
と言われたのだという。旦那はかなりの「外国人嫌い」であり、外国人相手に因縁付けては問答無用で処刑しまくっていた。そして、キャバクラでキャバ嬢に斬首された外国人の生首を見せびらかしながら
「いい外国人は死んだ外国人」
と大笑いしていたのだ(ちなみにキャバクラの飲み代は京都地検の経費で支払っていた)。また、S子の娘は一年前にこの近くの用水路で死亡したのだという。娘はS子の旦那と二人でS子の誕生日プレゼントのエプロンを購入しに行った帰りに用水路で事故死したというのだ(むしろ、旦那が殺害したのではないか?と私は疑っているわけなんだけどねぇ・・・)。S子の娘は亡くなった後、S子の両親や親族が謎の不審死を遂げるようになったのだという。旦那と旦那の両親(S子の義両親)が言うにはS子が生命保険や遺産を手に入れるため、次々と自分の娘だけでなく親族を手に欠けているのではないか?と疑っているようであった。ちなみにS子の実家は資産家である(つまり、旦那は玉の輿状態という事になる)。























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