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床の板とか、ところどころ穴が空いて、すんごい埃被った靴とか、生活用具とか、ぬいぐるみとか。その辺に散乱してました。しかも、喉の奥を突き刺すような、カビと、埃の、ものすごい匂いがしました。ちょっとむせました。
でも、レイが中にいる。このまま中に入らなかったら、また怖い顔で睨まれると思って、レイー?どこにいるのー?ってでかい声で叫びながらレイを探しました。
どの部屋もものすごく荒廃していて、生活感なんてまるでなくて。電気のひとつも付かないんです。そして、ものすごく臭い。カビや埃だけじゃない、別の匂いも充満してました。よく見ると、小動物が沢山死んでるんですね。その死臭?がものすごかったです。
叫びながら探してると、「ここだよ」って、さっきみたいな、抑揚のないレイの声が聞こえてきて、抜けてる床に気をつけながら探し続けました。
凄く頑張って探しましたけど、レイはいませんでした。
さっき聞いた声はなんだったんでしょう。
流石にだんだん怖くなってきて、その家を出ました。
家を出る時、「もう帰るの?」って聞こえて、一心不乱に走って逃げ帰りました。馬鹿ですよね。自転車で行ったのに走って帰るなんて。でも、それくらい怖かったんです。
自分の家につくと、お母さんに、もう帰ってきたの?なんて言われましたけど、色々あってさ、としか言えませんでした。
レイに電話しても、全く繋がりません。
「おかけになった電話番号は現在使われておりません。」
って、機械の声が聞こえるだけでした。
意味がわからなさすぎて、レイ以外で唯一話せるクラスメイトに電話しました。
すぐに出てくれました。それが良かったのか良くないのか。未だに分かりません。
「ごめん突然かけて」
「いや、別にいいけど、なんの用?」
「あの、レイの家ってさ……」
「レイ?あぁ。……病院の奥にあるところでしょ?なんで知ってんの?」
「そりゃ教えてもらったから知ってるけど……ところで、まだそこに住んでるの?レイ」
「住んでる?あんた何言っちゃってんの?」
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「レイは一昨年その家で自殺したよ」
「一家心中だったみたいだけど、詳しくは知らない」
そこからの記憶は曖昧で、ぼーっとしながらご飯とかお風呂とか済ませちゃってたと思います。
どういう事なのか全く分からなくて。
その日、当然ですけど全く寝つけませんでした。
それで、確か、深夜1時くらいでしたね。家の固定電話が鳴りました。こんな時間に、です。






















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