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ヒトコワ

大鷹恵さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ある集落から来た男の子
長編 2025/10/01 21:54 1,776view

金髪ロリ店長は裸のまま、ベッドから起き上がる。男子はいなかった。外から警察のサイレンが鳴った。
金髪ロリ店長の父(先代ゲームショップ店長)が
「やあ、娘よ。男の子とお楽しみの最中だったね。それはともかく、J地区で・・・」
先代店長は話し始める。昨日の深夜、J地区で大量殺人が発生した。地区の人間はほぼ、皆殺しであった。ただ、その地区の男子一人が行方不明だという。僕は
「まさか、その男子が集落の人たちを皆殺しにしたんじゃあ?」
と青ざめた。金髪ロリ店長は話を続ける。

そのまさかであった。例の男子は集落の人間を皆殺しにしたのである。なお、凶器(斧)はレンタルビデオ屋の男子トイレに捨てられてあったのだ。結果的に騒ぎが拡大した。なにせ、この地区に殺人鬼が潜んでいるのだ。当然、子供たちの楽しい夏休みがぶち壊しだ。大人たちは不審者の見回りを強化していた。ただ、相手は小学生くらいの男子であるが。数日後、夜の7時ぐらいに地区の集会所で先代店長と僕の父や地元の大人たちは殺人鬼対策(と言っても、酒を飲みながら、どーでもいい話で時間を費やした。それ以前に殺人鬼対策の話すらしていない。つか殺人鬼ぐれー「天下のマッポ様」が何とかしてくれるんじゃね?という結論に至るレベルである)を話し合っている時、金髪ロリ店長はゲームショップの店番をしていた(まあ、バイトの店員もいたが)。金髪ロリ店長がお客さんの女子高生と今流行りのテレビ等の話題で話している時、

「金髪ロリ店長の背中に血まみれの男の子が(背負っている状態で)ニヤニヤと笑っているんだけど・・・」

さて、この話には後日談がある。

これは僕が通い詰めいていた名画座で起こった話だ。その名画座は1950年代からあり、かなり繁盛している。J地区での殺人事件があった数週間後の土曜日、名画座で経営者のオプーナ氏とスタッフたちは「恐怖の報酬(1977)」と「スウィート・スウィートバック」の二本立て上映の準備をしていた。上映は午前9時から開始であった。外は大雨であった。午前9時前になると、客が名画座に入場を始める。オプーナ氏は客の中で一人だけ違和感を感じる「人物」がいた。ぼろぼろの服を着た小学生くらいの男子であった。なにか人ではない雰囲気であった。男子の方を見たが、寒気がした、とオプーナ氏に語る。

そして、午前9時、「スウィート・スウィートバック」の上映を開始した。オプーナ氏は客席の方を見る。
「あの小学生の男子は違和感があるな・・・」
と思った。そんな時、パトカーのサイレンが鳴った。どうやら近くで何かが起こったらしい。オプーナ氏はマルボロメンソールを吸いながら、大雨の外を眺めた。そんな時、警察官二人組が来た。警察官は
「すみません、警察です。この辺りでぼろぼろの服を着た小学生の男子を見かけませんでしたか?」

「ん?何かあったんか?」
オプーナ氏はただ事ではないと感じた。オプーナ氏は警察官の態度を見て、直感でこれは窃盗、傷害事件の類ではない、と確信した。
「我々はその男子を捜索をしています」
「そういえば、名画座の客席にその男子がいますが・・・」
とオプーナ氏は警察官二人を名画差の中へと案内する。小学生の男子の座席にはリュックサックが置かれていた。オプーナ氏と警察官は名画座の事務室にまで行き、リュツクサックの中身を空ける。オプーナ氏は顔面蒼白した。中には小学生の男子の生首が入っていたからであった。それもさっき、名画座の客として入ってきたぼろぼろの服を着た小学生の男子だったのだ!

その後、監察医の調べによると死亡推定時刻は午前4時くらいであった。つまり、オプーナ氏が目撃したのは幽霊ではないのか?という事になる。この時、オプーナ氏は男子がJ地区の住民を皆殺しにした犯人であると知って驚いた。なお、胴体は雑木林に捨てられていたという。そして、男子を殺害した犯人は未だ見つかっていない。オプーナ氏は大雨の日になると、ぼろぼろの服を着た小学生の男子の事を思い出し、背筋が凍るという。

終わり

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