学校を出ると群青の空の裾が茜色に染まっていた。
深雪とは他愛無い話をしながら駅まで歩いた。
空に光る星々のどれがあの川の対岸に光っていたのだろうか。
車窓の外の街並みは影に沈んでいた。
駅から家への道は街灯がぽつぽつと気まぐれに足元を照らしていた。
あの場所について母も知らなかったらどうしようかな。
不意にコツコツとヒールの音が背中を叩いた。
咄嗟にカバンを胸の前に抱き込んだ。
ハッとして振り返ると見ず知らずの女性がこちらには目もくれずに通り過ぎていった。
そんなわけないか。
月だけが私を見下ろし、嗤っていた。
家に着くと深雪に描いてもらった絵を母に見せた。
「あら、上手な絵ね。
深雪ちゃんに描いてもらったの?」
深雪が絵を描けることは母も知っている。
「お母さんはこの景色見たことある?」
単刀直入に聞くことにした。
「うーん…確かに何処かで見たことあるような…。
写真で見たような気がする。」
そう言うと母は押し入れから古いアルバムを引っ張り出してきて、私の前に広げた。
母は”千尋”の小さい頃の写真を見せながら懐かしんでいた。
もちろん私の記憶にはなかった。
目的から脱線しながらも残りの思い出の厚みはゆっくりと薄くなっていった。
「あれ?これかな?
こんな古い写真だったっけ。」
そう言いながら母は一枚の写真を渡してきた。
そこには赤子を抱いた母に似た女性が写っていた。
写真の縁は時の流れに焼かれたように茶色く滲んでいた。
そのモノクロ写真の背景には、確かにあの鉄道と川が写っていた。
街並みは今と違ってまばらに日本家屋が立ち並んでいるが、間違いなくあの場所だった。
「これは若い頃の千尋のおばあちゃんが私を抱いてる写真ね。
ほら、ここに鉄道と川があるでしょ?
昔、お母さんによく見せられてたんだよねー。
昔はこんなに可愛かったのにって。」
私の記憶はこのモノクロ写真よりも色褪せて、擦り切れていたということか。
それでも、その景色は確かに私の中に残っていた。
でも、やはりそこが具体的にどこなのかはどうしても思い出せなかった。
























私の頭じゃ内容を把握しきれないので、詳しく教えてくれませんか。