そんな母も、先月亡くなりました。死の一か月前から体調が良くないと連絡を受けていたのですが、脳梗塞で倒れてからはあっと言う間でした。
昨日、遺品整理のために有給を取って実家に行くと、実家には必要最低限の生活必需品があるのみでした。
母は読書が好きで、昔は大きな本棚4つ分の大量の蔵書があったのですが、それらも処分したのか本の類は殆ど残っていません。
各部屋を回り、粗大ゴミに出すものやリサイクルショップに引き取ってもらうものを一通りメモし終えたところで、納戸の中を確認しそびれているのに気づきました。
納戸は階段の下にある二畳ほどのスペースで、何となく母のスペースという認識があり私は開けたことがありませんでした。
納戸の扉には南京錠が取り付けてありましたが、幸い鍵はかかっていません。取っ手を引っ張り扉を開けると、錆びた重い金属の感触と埃の匂いが伝わってきました。
懐中電灯で照らした中にあったものはただ一つだけ。あの洗濯機でした。
これ、捨ててなかったんだ
私は懐かしく思いながら洗濯機に触れ、何気なく蓋を開けてみました。槽の中を覗き込んでみて、改めてその大きさを実感しました。我が家の洗濯機と比べたら二倍くらいの容量があるんじゃないか。
――うちの洗濯機は食いしん坊だから、お腹がすくと食べちゃうんだよ
母の声が聞こえたような気がしました。驚いて周りを懐中電灯で照らしましたが、そこにいるのは私と洗濯機だけでした。
私は再度洗濯機の中を覗き込みました。この深さなら、子供なんてすっぽり入ってしまうな。大人でも手足を折り曲げたら詰め込めるだろう。
椅子に乗って上半身を突っ込み、洗濯物を引っ張り出していた子供の頃の行為が、急に恐ろしいことに思えて、背中に冷や汗が流れるのを感じました。
この洗濯機はしばらく処分せずにおこう。保育園に息子の迎えに行かねばならない時刻が迫っていたため、私は実家に施錠すると車に乗り込みました。
これが私の話したかった洗濯機の話です。
来週また実家へ行く予定です。その時は息子も連れて行こうと思います。






















スマイリーさんオッスオッス
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