━━━
ちなみに、母は霊感が強いタイプで、母方の親戚も見える人が多いです。
私自身は感じませんが、母や妹、弟は時々「見てしまう」ことがあるそうです。
そして母たちが共通して、我が家で体験している現象があります。
それは、忙しい時や何かに集中している時に起こるのだそうです。
例えば母が料理をしている時、妹がゲームをしている時、弟が勉強をしている時──そんな少し手を離せないタイミング。
「おーい」
と話しかける声が背後から聞こえるそうです。
その声は父にそっくりなのです。
「さっきから話しかけてるだろ。なあ、ちょっとこっち見て」
「なあってば」
今は手が離せないから後にして、と伝えても、何度も何度も話しかけてくる父の声。
もうしつこいな、そんなに緊急の用事なのかと振り返ると──そこには誰もいないのです。
━━━
この現象は今でも続いています。
台所で母が「はいはい、後でねー」と独り言を言った後、振り返ってはため息をつく。
不思議そうに見ていた私に、そばで同じ光景を見ていた妹がそっと耳打ちしました。
「今の、お父さんじゃない方だったよ」
笑いながら、まるで「また間違えちゃったね」とでも言うみたいに。
その無邪気さに、私は背筋が冷えました。
━━━
先日のことです。夜中に目が覚めて台所に行くと、父も起きていました。
暑さで寝苦しくて、麦茶を飲みにきたようでした。
たまたま今度見に行く映画の話になって、10分くらいでしょうか、父とそのまま立ち話をしていました。
会話が途切れて、私が「じゃあ、おやすみ」と声をかけて部屋に戻ろうとした時──
「なあ」
父に呼び止められました。
振り返ると、なぜかにやにや笑ってこう言いました。
























強すぎ