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不思議体験

どこかで見た話さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

最後の取材ノート
短編 2025/08/02 18:32 2,275view

日付と名前は判別できなかった。だが、取材ノートにははっきりと書き留めた。

夜、民宿代わりの旧民家で、不可解な夢を見た。

廊下を歩いている。
自分の足音が妙に重い。
何度曲がっても、同じ部屋に戻ってきてしまう。
窓の外は、川――だが、そこを“自分自身の遺体”が流れていく。

顔は見えない。
水の中なのに、目だけが、真上を向いているのがわかる。

翌朝、私は気づく。
昨晩、夢で歩いた廊下の“折れ”が、記憶より一本多い。

念のためにとメジャーを持って測ると、建物の“外寸”と“内寸”が合わない。
家のどこかに、“余分な部屋”があるのだ。

私はその後も何日か調査を続けた。
そして、古い町役場の倉庫から、もう一つの新聞記事のコピーを発見する。

「村の少年、川で水死。身元不明の遺体を見た夜に――」

日付は1977年。例の切り抜きと同じだ。
だがこの事件は、今までどの村人も一切話さなかった。

私は不安を覚え、例の「夢で見た川辺」へ行ってみた。
するとそこには、朽ちた祠と、苔むした石碑。
碑文の一部が読めた。

「……己の死体を視(み)たる者、七日以内に連れ戻されん――」

その瞬間だった。

視界の隅で、何かが動いた。

水面に、何かが揺れていた。

よく見ると、それは……

「私」だった。

このあと、記憶が途切れる。

気づいた時、私は自宅に戻っていた。
だが、取材ノートには「逆さ文字」で走り書きがあった。

「7にち すぎたら ふりかえっては いけない」

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