「それともう1つ。」
言葉を失った俺をよそに、猿田は続けた。
「浜田家の中には、不思議な張り紙と、仏壇に謎の物体が見つかった。しかも、剛さんや真理さんは、職場、バイト先の人の証言で、失踪する直前、おかしな言動が目立ったんだ。」
「チヨのとこに行かなきゃ。って。2人ともそう言ってたらしいぞ。んで、張り紙と謎の物体の件だが……」
「ちょっと待て。」
んだよ。と不服そうな顔をする猿田。だが、どうしても気になる事がある。
「お前はなんでそんなに詳しいんだよ。」
そもそも、俺が帰ってきたことを知るのも早すぎるし。ま、それはあんまり関係がないけど。
「えー?うーん。なんでだろうな。ま、俺情報通だからさ。」
明らかに真実をはぐらかされたような気がする。
昔からこいつのことはよく分からない。
「話を戻すか。家中、ちぃちゃん用って書いたラップご飯とか、ちいちゃんへって書いた手紙とか。沢山置いてあった。そんで、張り紙だ。」
えーと、確か……
スマホを取りだして何やら弄り始める猿田。
「お、あったあった。」
こちらに向けられた画面には、写真が写っていた。
その写真にはA4くらいの紙に、こんなことが書かれていた。
『チヨのための3ヶ条
その1、毎日通うこと
その2、皆で笑うこと
その3、指に毎日供えること』
恐らく、撮影場所は浜田家の中だろう。なぜこいつがこんなものを持ってるんだ。
張り紙に書かれていることは全く意味がわからないし。
「なんだよ、これ。」
「さぁ?でも不気味じゃん??怖くね?」
いつの間にか、猿田の顔はいつも通りのヘラヘラ笑いになっていた。どうにも腑に落ちない。
「なんだそれ。さすがに不謹慎だぞ。てか、謎の物体ってなんだったんだよ。」
「指だよ。」
また真顔になっている。
「恐らく、人間の小指。」
*
























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