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妖怪・風習・伝奇

かしわさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

ミマツリ ― 神人の村 ―
長編 2025/07/28 17:59 8,370view
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その夜、谷本が再び発作を起こし、口から黒い液体を吐いた。
しかもその声は明らかに少女ではなかった。

「おまえたちは、わたしの“なか”に来た。
もう だれも 出られない」

宮司が緊急に“祓い”の準備を始めた。

「いまから、“神人の間”で祭の逆儀を行う。

“神”を追い出し、器を壊す。……ただし、代償は出るかもしれない」

「……代償って?」

「うまくいけば、谷本は助かる。
でも“神”が宿りきってしまっていた場合、彼女を**“完全に喰わせる”しかない**」

「じゃあ、石田は――」

「もう手遅れです。
すでに“神人の肉”として、あやの器の一部になっている」

集会所の“神人の間”。
谷本は中央に寝かされ、宮司が祝詞を唱え始めた。
空気が一瞬で変わった。

襖がガタガタと震え、電気もないはずの天井から、眩いほどの白光が漏れた。

その中で、谷本が叫ぶ。

「来てる、来てる!……“神”じゃない、これは、ひとじゃない!!」

天井に浮かぶ影。

女のような、子どものような、けれど目が4つ、口が裂けた影。

そして、そいつは――“笑っていた”。

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