「やばくね?誰もいないのに、音だけ鳴ってるんだけど」
北野が外を見ながら言った。
「さっきまで確かに無人だったよな…」
俺も不安になってくる。
石田はというと、集会所の床に置かれた古文書を勝手にめくってはスマホで撮っていた。
「これ、ヤバいな。明らかに“儀式の手順”だよ。
生贄の体をどう洗うとか、どこに寝かせるとか…」
そのとき――
谷本が、急に頭を押さえて崩れ落ちた。
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「…見られてる」
「“神人”が、近くにいる。……たぶん、もう1人、選ばれてる」
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◆
その夜、石田が、集会所から姿を消した。
どこを探してもいない。荷物もそのまま。スマホも置いたまま。
ただ、彼が撮っていた写真の中に、1枚だけ異常なものがあった。
古文書の写真。
画面の奥、反射の中に――石田の背後に、白い顔があった。
目が4つ、口が裂け、何かをささやいているようだった。
⸻
◆
明け方。
梶尾婆が俺たちに言った。
「石田は、“神人の使い”に連れて行かれた。
“ミマツリ”は始まったんじゃ」
「次は…誰かが、器になる。
神に喰わせる“魂”が足りんのじゃよ」
そしてこう付け加えた。
「逃げたければ逃げなさい。
けど、“神に見られた者”は、もうただでは済まんよ」
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