Sさんは、高校時代の美術の先生に久しぶりに会った
それが縁で先生の家へ遊びに行くことになった
立派な二階建ての一軒家・・・
お茶を飲みながら話しもはずんだ頃
「そうだSさん、実は妙なものを買ったのよ」っと先生が言う
「このあいだ旅行に行った時、古道具屋の前を通りかかったら、どういうわけか急に入りたくなってね」
「それで、店に入ると真っ先にひとつのオルゴールが目に飛び込んできて」
「見れば見るほど音が聴いてみたくなって買ったの」
「家に帰って聴いてみると、これがまた綺麗な音なの・・・」
「ところが何回か聴いているうちにメロディに混じった雑音に気がついてね」
「あれ?何だろう?と、もう一度聴いてみたら、さっきより少し大きくはっきり聞こえるの・・・」
「その雑音がどうも、男の声のように聞こえるのよ」
先生は立ち上がると、隣の部屋からそのオルゴールを持ってきた
ひとかかえもある立派で大きなものだった
「ちょっと聴いてみて」
先生は膝に抱えるようにしてネジを回しはじめた
ギリギリ・・・ギリギリ・・・
っと、オルゴールから綺麗なメロディーが鳴り出した
「先生、男の声なんて聞こえませんけど?」
「一度目はね・・・」
もう一度ネジを回した
ギリギリ・・・ギリギリ・・・
「別に何も・・・・・・・・・・・」 いや、聞こえた・・・
オルゴールの音とはまったく別の低い音
男の呻き声
「何ですか?これ!」
「本当でしょう?」
またネジを回す
ギリギリ・・・ギリギリ・・・
綺麗なメロディ・・・・・・























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