色は黒。
雑音はどうやら日本国国歌、つまり「君が代」のようだ。
車の前面には白字で「七生報国」と毛筆体ででかでかと書かれ、その周りを派手な丸い電飾灯が囲み、チカチカと光を放っていた。
てっぺんには拡声器が3つ設置されている。
大音響の「君が代」は、ここから流れているようだ。
♪ちいいよおおにいぃぃ、いぃいぃ……
※※※※※※※※※※
せっかくの至福のひとときをぶち壊された俺は、次の分かれ道で左側の細い道にハンドルを切る。
タイヤが鳴る。
偶然なのか、後ろのトラックも後に続く。
大音響の国歌とともに、、、
まじかよ、、、
一人呟き再びバックミラーに目をやり、今度は運転席辺りに目を凝らす。
そしてちょっとゾッとした。
カーキ色の軍服姿で帽子をかぶり、白手袋を嵌めた両手をハンドルの上に乗せている。
顔までは暗くて見えない。
─何だ、あいつ……
イカれ野郎か?
そのあと何度か分かれ道があり、
その都度適当な方にハンドルを切るのだが、後ろのトラックは場違いな君が代とともに、ほぼ等間隔でピッタリと付いてきている。
俺は恐怖さえ感じだし、
とうとうウインカーを左側に出して、道路の左端に車を寄せた。
驚いたことに、後ろのトラックも同じく左端に車を寄せ俺の車の後ろで停まる。
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