私はこれはAの挑発だと思いました。下に誘導しようとしているとしか
思えなかったのです。Bも「ワシもいかんわ。帰ろうで」と言ってくれたのですが、
他の二人は「なんか面白そう。ちょっとだけ降りようか」みたいな感じで
Aに同調したのです。
Aは「お前らは勇気あるの~」とか言いながら、
私やBを更に挑発していましたが、Bは「ワシ行かんで。勝手に行けや」と
吐き捨てるように言いました。
Aは「ならまず3人で降りるわ。お前らはとりあえずココで待っといてや」
と言いました。そして3人は下へと降りて行ったのです。
私とBの二人はトイレの外には出ず、中で待っていました。
トイレの周辺は施設に挟まれた形で、窓も多数あったため、
「どこの窓から見つかるか分からない」と思い、トイレ内で待機していました。
Bは「おい、Aってなんか変じゃないか?」と聞いてきました。
私は「今日のAはおかしい。なんか最初っから俺らをココに連れてきたみたいな
感じがする」と答えると、Bも「ワシもそう思いよった」と言いました。
その後はBと一緒に今夜の事や見つかってしまった時の対処法などを
話していました。5分近く経った頃、「ちょっと遅くないか?!」と
私もBもイライラし始めました。
Bは「もう二人で帰るか」と言い出したのですが、二つあった懐中電灯のうち
二つともAたちが持って降りてしまったので、暗闇の中あの小さな横の扉を
発見するのは時間がかかると判断し、しぶしぶ待っていました。
すると、遠くのほうから足音が聞こえてきたんです。ザッザッザッという
複数の足音が遠くから聞こえてきました。私もBも、一瞬で緊張しました。
私たちは小声で「ヤバイ…人がきた。マズイで…」と囁きあいました。
場が張りつめた雰囲気に変わりました。足音は遠くからでしたが、
どの方角からの足音か分からなかったですし、いま外に出ても私たちは
施設内の方向や構造が分からないので、見つかってしまう可能性がありました。
Bが「ヤバイ…近づいて来とるで…どうする?」とかなり慌てた感じで
言っていました。私も内心は心臓がバクバクしながら「コッチに来るとは限らんし、
来そうなら隠れよう」と言いました。しかし確実に足音は私たちのいる
トイレに近づいてきていました。
























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