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不思議体験

タトゥーのkzmさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

キッカケ
短編 2025/06/20 22:04 954view
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僕は昔から少し不思議なものを見ることや体験をすることがありました。ただ、そのキッカケとなった出来事があってから、それが日常的になったんです。今回はその体験談をお話ししたいと思います。

20代の頃、当時付き合っていた彼女とマンションで同棲していました。マンション自体は特にいわく付きというわけではありませんでしたが、住み始めてしばらくは何事もなく平穏に過ごしていました。

住み始めて約半年ほど経ったある夜のことです。寝ていると突然、金縛りに遭いました。体はガチガチに固まり動かせず、声も出せない状態でした。ただ、なぜかその時だけは恐怖心が全く湧いてきませんでした。

その時、部屋の壁から煙のようなものがもくもくと出てきたのです。その煙はそれなりの大きさで、僕と彼女が寝ている布団の周りをぐるぐると回り始めました。目で追っていると、その煙の塊は途中で僕と彼女の間で止まり、次第にバスケットボールほどの大きさに縮まり、濃くなっていきました。

そして、その煙がにたにたと笑うしわしわのお爺さんの顔に変わり、僕の方を向きました。はっきりとした言葉は覚えていないのですが、そのお爺さんはこう言ったように感じました。「面白いものを見せてやろう」と。

次の瞬間、そのお爺さんは隣で寝ている彼女の体にズボボボと入り込んでいきました。彼女が殺されるのではと恐怖を感じた僕は、何とか彼女を助けるため金縛りを解こうと体を動かしましたが、全く動きませんでした。

心の中で「やめろ!」と怒鳴るように叫びましたが、それは彼女の体の中に完全に入ってしまいました。その瞬間、仰向けで寝ていた彼女の両手と両足が天井に向かって前へならえのように伸び、激しい痙攣が始まりました。助けたいのに体も口も動かせず、その無力さで怒りと悔しさでいっぱいになりましたが、どうすることもできませんでした。

彼女の体は10秒間ほど激しく痙攣した後、まるで人形の糸が切れたように力が抜けてバタッと布団に倒れました。すると、彼女の体から大量の煙のようなものが爆散するように飛び散り、部屋の中から消えていきました。

その瞬間、金縛りも解けて、すぐに彼女の肩を揺さぶりながら「大丈夫!?大丈夫!?」と声をかけるとら彼女は驚いた様子で目を覚ましました。
彼女が目を覚ますと同時に、僕は急激な眠気に襲われてしまい、思わず目を閉じてしまいました。体感では3秒くらいで目を開けたつもりだったのですが、気がつくと朝になっていました。夢だったのかとも思いましたが、彼女を見るとすでに起きており、仕事に行く支度をしていました。

彼女が僕が目を覚ましたことに気づくと、すぐに「夜中、すごい勢いで起こされてんけど、寝ぼけとったん?」と笑いながら聞いてきました。僕は夢じゃないのかもしれないと思い、夜中に起きた出来事を話すと、彼女は「気持ち悪っ!でも、どうせ寝ぼけとったんやろ?起こされたと思ったらすぐ寝出して、揺すって声かけても起きへんし、寝息立てとったから寝ぼけとるんやと思って放ってた!」と言いました。

その言葉を聞いて、確かにそうかもしれないと思い、僕も仕事の支度をして家を出ました。しばらく歩いていると、前にスーツを着た男性が立っているのに気づきました。近づくにつれて、その男の人が「透けている」ことに気づき、驚きましたが、その場では気づかないふりをして通り過ぎました。

振り返ってみると、やはりその男の人は透けて見えたままでした。その瞬間、「あ、これお化け見てもた」と確信し、その場を離れました。

それからというもの、あの夜中の出来事以降、日常的に不思議なものが見えるようになり、もう10年が経ちました。今では慣れてしまいましたが、それでもたまにゾッとするような体験をすることがあります。

こういう話を誰かに話すのも良いかと思い、今ではネタとしてお話ししていますが、正直なところ、もう見えなくなってほしいというのが本音です。

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