アスファルトが敷かれて、地面はならされ、草も藪もすっかり消えた。
だがそこだけ、雨が降ると妙にぬかるむ。
水捌けが悪いとか、そういう話じゃない。
黒い水が、浮くんだ。
そしてここ数年、決まってそのカーブで事故が起きてる。
バイクが単独で転倒。運転手がガードレールに喉から突っ込んで死んだ。
軽トラがスリップ、横転。運転手の首が、シートベルトでほぼ切断されてた。
どれも、タイヤ痕は途中で消えてる。まるで、ぬるりと何かに持っていかれたみたいに。
地元じゃもう、そこを「血流れカーブ」って呼んでるらしい。
昔から住んでいる人たちは、それがどういう土地か、ちゃんと知ってる。
黒水のくる頃になると、決まって事故が起きる。
祖父が言っていた言葉を、今になって思い出す。
「血が、土地に染み込んだらな……土は、血の味を忘れねえんだよ」
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最後の祖父の言ってること名言z
祟りや因縁に「土」という表現があるのは斬新ですね。お見事です